満身創痍の中でのレースだった。スピードスケート女子平昌五輪500メートル金メダリストの小平奈緒(35=相沢病院)が12日、長野市内で会見を行い「自分にゴールラインを決めることにしました」と10月の全日本距離別選手権を最後に現役を退く意向を示した。

 連覇のかかった2月の北京五輪では、500メートルで17位、1000メートルで10位に沈んだ。1月に右足首を捻挫するなど、万全な状態で臨むことはできなかったが「悔いは全くない。本当によくやってきた。仕方のないこと。誰にでも起こりうることだなと実感したが、ありのままの自分を示すことができた」とすがすがしい表情で振り返った。

 ただ、本来であればスタートラインに立てないほど右足首の状態は悪かったという。結城匡啓コーチは「信じてもらえないかもしれないが、陸上でジョグができない状態だったし、スタートで右脚を止めてしゃがむと痛くて、止まれない状態だった」と明かす。そんな状況下でも滑り切った教え子の姿を「王者になった選手が4年後に向けて順調に来ていて、直前にこんなことがあるのだろうかと。何をいったい試されているのだろうかという思いがあった。(小平は)悪い夢であってほしいとの思いもあったと思うが、しっかりレースをやって、本当に立派だった」と褒めたたえた。

 小平がケガを明かしたのは1000メートルのレース終了後。しかし、結城コーチによると「右足首のことは言いたくない」と隠すつもりだったという。最終的には結城コーチの助言もあって話したというが、言い訳を一切しない姿勢に小平奈緒のアスリート魂が詰まっていた。