モンスターの真の恐ろしさとは――。WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(28=大橋)がIBF同級5位のアラン・ディパエン(タイ)との防衛戦(14日、東京・両国国技館)を直前に控える中、元世界3階級制覇王者の田中恒成(26=畑中)と陣営が取材に応じた。田中は先月に井上と3階級を制した者同士のスパーリングを敢行。その場で陣営は井上との大きな差を痛感させられたという。

 井上が目標とする4団体統一の足がかりとなる試合を目前に控え、テンションは最高潮に達している。11日(日本時間12日)にライバルのWBC世界同級王者ノニト・ドネア(39)が暫定王者レイマート・ガバリョ(ともにフィリピン)との王座統一戦(米カリフォルニア州カーソン)に4ラウンド(R)KO勝利。井上は「これでドネア2(2019年11月以来の再戦)が実現に近づいたので、14日はしっかりとクリアしてドネア2を実現させたいです」と闘志をかき立てた。

 一方の田中は昨年大みそか以来となった11日の再起戦(愛知・名古屋国際会議場)に勝利。井上とは約1か月前に注目のスパーリングを行った。お互いに近い試合日程だったこともあり、所属ジムの畑中清詞会長が打診する形で実現。3階級を制した者同士の2日間にわたる豪華競演は、1Rのみアップされた公式動画がすでに再生数60万回超と大きな反響を呼んだ。

 ただ、畑中陣営が肌で感じたのは井上の高い壁だったという。デビュー以来、井上を超えることを目標としていた田中は「相手を見抜く力がすごかった。(こちらが)守るにしてもすぐに見切り、相手の隙を見つけて『今だ』という時に攻めてくる。そんな〝見る力〟が一番高かった。そこが僕よりかなり上だった」とモンスターの脅威を語った。

 スパーに同行した村田大輔トレーナーは「差を見せられた。挙げたらキリがないが、特にどんな体勢からでも強いパンチを打つバランスと距離感。たとえ恒成が前に出て、向こうが下がっていても迎え撃つのに強いパンチを打つ。またちょっとした隙を逃さない集中力と、そのとっさに放つ威力あるパンチ。(田中は)少しも気を抜けなかっただろう」と分析した。

 また、畑中会長も「『やっぱりやられました。勉強になりました』と言っていた。恒成もここまで頑張ってきたけど尚弥も強くなり続けている」と証言。それでも「(田中の)今後に生きると思う」と大きな収穫を得た様子だった。話題となった豪華スパーに対する陣営の声は、井上の強さをさらに際立たせた格好。今回も〝モンスター〟の名にたがわぬ試合を見せてくれそうだ。