“狂騒曲”はとどまるところを知らなかった。昨年大みそかの格闘技イベント「RIZIN.14」でスペシャルエキシビションとして行われたボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41)VS那須川天心(20)の一戦は、世界中で注目を集めた。年が明けても格闘界から試合内容に疑問の声が出るなど話題は尽きない。いったい「世紀の一戦」の舞台裏では何が起きていたのか? 本紙が徹底調査すると――。

 大みそか決戦ではメイウェザーが那須川から3度のダウンを奪い、1R2分19秒、TKO勝ちした。世界最大の格闘技団体「UFC」に参戦経験がある格闘家ローリー・マクドナルドは1日、この一戦について「個人的にはフェイクの試合に見えた」と自身のツイッターでコメントした。同調する格闘家も現れるなど、この試合に関する話題は年が明けても世界レベルでくすぶっている。

 騒動が始まったのは決戦の数日前。当初、メイウェザーの来日はクリスマス明けに予定されたが、実際は試合の2日前(12月29日)。原因は“女性問題”だったようだ。

 関係者によると、メイウェザーは数十人のガールフレンドたちに「年末、日本に連れて行ってやるよ」と約束した。だが、プライベートジェットとはいえ全員乗せると定員オーバーになるため、同乗する7人を誰にするかでもめたのだという。

 その後、選ばれた“メイ7選抜”が集結するも、今度は「試合ではくパンツが決まらないから、もう少し遅れる」と言いだす始末。試合では自分の顔がプリントされたパンツ姿で観衆の度肝を抜いたが、これは熟考の末の選択だったのだ。

 試合当日の昼には高級ホテルのスイートルーム(1泊約200万円)から見た景色に感動し「これから富士山に行く」と言いだし、関係者に止められる一幕も。会場(さいたまスーパーアリーナ)控室の備品については事前に「ソファとラジオと大鏡を用意しろ」と3点セットを求めてきた。加えて当日午後8時になって「フライドチキンを30人前用意しろ。コールスローサラダも。なかったら試合をしない」と要求はエスカレートした。

 メイウェザー陣営は午後9時に会場入りする予定だったため、許された時間は1時間。RIZINスタッフ総動員で店舗をはしごし、何とか要求分をかき集めた。なお、試合が終わるやメイウェザー一行はニューイヤーパーティーのために羽田空港から帰国。控室には10人前以上のチキンとサラダが残されており「スタッフみんなで食べました。涙でしょっぱかったです」とRIZIN関係者は振り返る。

 暴君ぶりを発揮する一方で、交渉はしたたか。RIZINの榊原信行実行委員長(55)は「チームに組織力があるんです。本人はいつもグッドフェースで、その周りにトリッキーな人間、嫌な人間、なだめる人間とそれぞれいて役割が決まっている。(米国に進出するには)彼らと向き合うことができる組織をつくる必要性があると実感しました」と語る。

 一連の交渉で象徴的だったのは、北米でのPPV放送だ。参戦を持ちかけた際、メイウェザー陣営はPPVによる莫大な利益を強調した。この話にRIZIN側も乗ったわけだが、結果的にPPVは付かなかった。「それも最初からブラフだったかもしれない。最初はいい話でその気にさせて準備をさせ、後からどんどん締めてくるんです」

 結局、振り回された形の榊原委員長は「きれいにファイトマネーの支払いは終わっています。僕らはPPVで捕らぬたぬきの皮算用をしましたけどね」と強調した。本格的な米国進出を目指すRIZINにとって、高い授業料になったようだ。