逆転勝ちならず――。広島からFA宣言した丸佳浩外野手(29)の巨人移籍が30日、決定的になった。広島の鈴木清明球団本部長に前夜、電話で連絡を入れ決意を伝えた模様だ。広島から巨人へのFA移籍は2013年オフの大竹寛投手(35)以来、4人目。これまで数々の選手を流出してきた赤ヘルが、またもストーブリーグで悔し涙を流すことになった。

 7日に国内FA権を行使してから3週間。丸は「プロ野球選手である以上、他球団の評価を聞いてみたいという思いもありますし、そういうのを聞ける機会もなかなかないので」と自らがどれほどの市場価格なのか確認すべく、獲得を目指す巨人、ロッテとの交渉に臨んできた。広島は事前に4年総額17億円を提示したとみられ、鈴木球団本部長は「球団として最大限のものは用意した」と言い、宣言残留も容認する考えを示していた。

 しかし、超破格オファーには太刀打ちのしようがなかった。そもそも昨季の契約更改の時点で丸サイドは代理人を立て、FA権取得に向けた準備を着々と進めていた。出身地でもある千葉に本拠地を持つロッテからは4年総額20億円超とされる契約に、井口監督の「背番号6」、さらに“監督手形”をオプションにした評価を受けた。

 その上を行ったのが、かねて大本命と見られていた巨人だ。5年総額35億円超の破格条件に加えて原監督が現役時代につけていた「背番号8」を用意し、交渉の席では指揮官直々に「ジャイアンツに新しい血を入れてくれ。カープでやってきたことをジャイアンツに持ち込んでやってほしい」と熱い言葉で口説いた。

 それに対して広島は契約年数や金額で勝ち目がなかったばかりか、最初の条件提示から「上積みはしていない」(鈴木本部長)と徹底して静観の立場を貫いた。別の球団幹部も「どういう決断をしても3連覇に貢献してくれたことには変わりないし、こちらは感謝しかない。彼の野球人生を考えるなら環境の整ったうちでやると考えるだろうし、人生そのものを考えるなら金額面だったり他の部分のことを優先させるかもしれない。どちらにせよ彼が決めること」と文字通り“まな板の上の鯉”であることを打ち明けていた。

 丸が新たなことに挑戦するには今年が絶好のタイミングでもあった。主力選手として球団初のリーグ3連覇に貢献し、2年連続でMVPにも輝いた。29日に東京都内で授賞式が行われたゴールデン・グラブ賞では同じ年の田中、菊池との“タナキクマル”で初の同時受賞。日本一こそつかめなかったが、赤ヘル黄金期の集大成にもなった。

 29日までに「広島の丸佳浩」としての公式行事を終えた丸は同夜、鈴木球団本部長に電話で連絡して決断を伝えた。30日朝、取材に応じた同本部長は「昨日の夜電話があった。内容?ここでは控える。本人から言うことだと思うからね」と話した。広島は2015年から4年連続で巨人戦に勝ち越してきたが、来季は丸がライバル球団に加わることでセ界の勢力図が塗り替えられるかもしれない。(金額は推定)