ドジャース一筋18年の伝説を刻んだレジェンドのクレイトン・カーショー投手(37)が〝第二の人生〟のプランニングを着々と進めているようだ。昨季限りでドジャースでの現役生活にピリオドを打ち、今年3月の第6回WBCで米国代表としてのプレーを最後に引退する〝生ける伝説左腕〟は、新天地として米大手放送局「NBC」のMLBスタジオ解説者の契約成立が間近となっているとスポーツ専門メディア「フロント・オフィス・スポーツ(FOS)」が伝えた。

 その一方で、米メディア「クラッチポインツ」はカーショーとNBCの契約内容をクローズアップ。焦点は解説者就任そのものではなく、家族との時間を最優先にしたいというカーショー本人の意思をNBC側が受け止め、事実上の「パートタイマー」的な出演形態を用意した点にあると指摘している。

 同メディアによれば、カーショーはNBCのMLB放送番組で毎週フル稼働するレギュラー解説ではなく、特定イベントや重要局面に絞ってスタジオに登場する見込みだという。昨年の時点でMLB機構側と各放送局やVODストリーミングメディア会社との話し合いの末、今年から本格スタートする〝新メディア権利時代〟に合わせ、NBCは「サンデー・ナイト・ベースボール」の復活やワイルドカード中継など大型コンテンツを抱える。通常なら常駐解説者を求めがちな局面だが、今回は違った。カーショーの〝家庭事情〟を理由に出演を限定するという、異例とも言える条件を受け入れたのである。

 背景には、引退後のカーショーが置かれた家族環境がある。妻エレンさんとの間に5人目の子供が誕生し、カーショー本人は「引退1年目はダラスの自宅で過ごす時間を最優先にしたい」と明言してきた。長距離移動と週次拘束が避けられない放送業界で、この希望を満たすのは容易ではない。にもかかわらず、NBCは「毎週出なくていい」という設計で解説者としての折り合いをつけた。ここにはメジャーリーグのスターOBに対するリスペクトと同時に、局側の本気度が透けて見える。

 現役時代の実績は言うまでもない。通算223勝、サイ・ヤング賞3回、MVP1回、オールスター11回、ワールドシリーズ制覇2度。だがドジャースのフロント入りの打診を断った事実が示すように、カーショーは「肩書」よりも「生活」を選んだ。解説者就任も、名誉職ではなく生活設計の延長線に置かれている。

 興味深いのはカーショーの〝家族ファースト〟がキャリアを閉ざすどころか、むしろ選択肢を広げている点だ。今年3月のWBCでは米国代表として〝ラストマウンド〟に立つ予定もある。フルタイムに縛られないからこそ、必要な場面で力を貸す――。そんなレジェンド左腕の姿勢が多くの関係者やファンから、あらためて共感を呼んでいる。

 結果として、今回の動きは「レジェンドの再就職」以上の意味を持つ。家族を最優先にしたいという個の事情を、NBCという米大手放送局が全面的に受け入れた。スターであっても例外はないという時代から相手の要望に応え、柔軟に設計する時代へ――。カーショーの〝ネクストマウンド〟はテレビスタジオであり、同時に家族のいる日常だ。その両立を可能にしたNBCの配慮が際立ち、古巣のドジャースやMLB関係者の間でも称賛を集めている。