ヤンキースからFAとなっているコディ・ベリンジャー外野手(30)の去就が、今オフのストーブリーグで異様な停滞感を漂わせている。代理人は「剛腕」で知られるスコット・ボラス氏(72)。複数球団を秤(はかり)にかけて条件をつり上げるという、いわゆる「ボラス流天秤(てんびん)交渉」を進めてきたもののここにきて思惑通りに進んでいない。

「ニューヨークポスト」や「ニューズデイ」など地元メディアの報道によれば、ヤンキース残留オファーとして5年総額約1億5500万ドル(約246億1000万円)を提示。一方でベリンジャー陣営は7年契約を要求し、年数面で大きな隔たりが残っている。

 昨季は守備で左翼、中堅、右翼、一塁に就いてユーティリティー性をいかんなく発揮し、打撃でも打率2割7分2厘、28本塁打、98打点と本人にとっても2019年以来と言える充実したシーズンを過ごした。その点を踏まえれば、長期契約を求める姿勢は理にかなう。

 そうした中で対抗馬として浮上してきたのが、19年に自身がMVPを獲得した古巣のドジャースだ。ただし水面下で用意されている条件の契約年数は米誌「ニューズウィーク」によると、ヤンキースよりもさらに短い3~4年規模とみられており「ベリンジャー側が期待する『年数上積み』の切り札にはなり切れていない」という。

 さらに当初はベリンジャー獲りがうわさされていたメッツも、現在はカイル・タッカー外野手(28=カブスFA)の獲得に本腰を入れたことで撤退ムード。結果としてベリンジャー側が秤にかける相手はヤンキースとドジャースの2球団に事実上絞られ、交渉は膠着状態に陥っている。

 浮き沈みの激しいキャリアを歩んできたベリンジャーにとって、今回のFAは「最後の大型契約」を狙う重要な局面だ。しかし、年数を譲らない姿勢が逆に選択肢を狭めつつあるのも事実。ヤンキースが条件をつり上げる気配を見せない中、ボラス氏流の強硬交渉は曲がり角に差し掛かっている。

 静まり返った交渉の裏で、ベリンジャー陣営がどこで折り合いを見いだすのか――。今オフ屈指の難題は今のところ、まだ出口が見えてこない。