新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否してオーストラリアから国外退去となったテニス男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)が、5月開幕の全仏オープンも〝出禁〟となりそうだ。

 ジョコビッチは全豪オープンで求められる出場選手へのワクチン接種を拒否したうえで〝特別待遇〟を求めたが、オーストラリア政府が却下。すると逆ギレして裁判所に提訴したが、入国時の虚偽申告などが次々と明るみになる赤っ恥をかいたうえで最終的に国外退去となった。

 今回のオーストラリア政府の決定は今後の4大大会にも影響しそうで、次戦の全仏オープンもアウトになる可能性が出てきた。フランスの放送局「RMC」は「今週末から採用されたワクチン接種パスは、フランスでの大会のために海外からやってくるアスリートにも適用される。したがって、ジョコビッチはワクチン接種を受けなければ、フランスのグランドスラム期間中は受け入れられない」と報道した。

 フランスの国会は激しい議論の末に、ワクチンパスの導入を決定。特定の場所に入るためには陰性証明だけでは不十分で予防接種を受ける必要がある。政府でスポーツ担当大臣を務めるロクサナ・マラシネアヌ氏は「スポーツの世界も、その適用から逃れることはできない」と表明。さらにクリストフ・カスタネル前内務大臣も「我々はローランギャロス(全仏会場)に行くすべての人とすべてのフランス人のために、このワクチンパスを採用した。規則はすべての人に適用される」とワクチン未接種の選手は出場できないことを強調した。

 全仏オープンのワクチン接種を巡っては、フランステニス協会のジル・モレットン会長がジョコビッチを念頭にワクチン接種を受けていないアスリートの受け入れを容認する方針を示していたが、オーストリアと同様にフランスも政府側が「NO」を突きつけることになりそうだ。

 こうした点を踏まえて同局は「ジョコビッチはワクチン接種を受けずに全仏オープンをプレーすることはない」と断言。今後は他の4大大会にもワクチン接種を拒否する選手を〝出禁〟とする流れが波及する可能性もあり、いよいよ世界王者が窮地に追い込まれた。