いつまで悲劇は続くのか。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大に対する外国人の入国停止の措置を受け、9日から開催予定だったフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが中止となった。昨年の大会もコロナの影響で中止となっており、2年連続でビッグマッチが消滅してしまった。

 政府が入国一時停止を発表した後、日本スケート連盟はスポーツ庁に大会可否を問い合わせていた。アスリートの来日が認めれるか否か?が焦点だったが、やはり特例とはならなかった。開幕1週間前の決定にスケート関係者も動揺を隠せない。特に競技人生のピークが短いフィギュアスケーターにとって、2年連続で晴れ舞台が消えたことは痛い。

 今大会、日本勢の男子はGPシリーズ連勝で勢いに乗る鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)、平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)、女子はNHK杯優勝の坂本花織(シスメックス)、ペアで快進撃を続ける三浦璃来&木原龍一組(木下グループ)が出場予定だった。鍵山、宇野はGPファイナル初制覇を狙っており、三浦&木原にとっては日本人ペア初の舞台のはずだった。

 世界王者のネーサン・チェン(米国)は17年からGPファイナル3連覇中。昨年、今年と五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が欠場していたことを考えると、前人未到の5連覇の可能性は大きかった。女子では世界歴代最高得点を連発する15歳の話題のシニアルーキー、カミラ・ワリエワ(ロシア)が来日予定だった。楽しみにしていたファンも多かったはずだ。特に女子選手はピーク時期が低年齢化しており、他のスポーツに比べて「1年」の重みが違う。年に一度のビッグマッチの中止は、スケートに人生を懸けてきた選手にとって計り知れない打撃だ。

 コロナ禍以来、GPファイナルが2年連続でなくなり、昨年は世界選手権も中止となった。アスリートの青春を奪い続けるコロナ。果たして完全終息はいつになるのか。