ライバルの目から見た強さとは――。北京五輪でカーリング女子日本代表ロコ・ソラーレ(LS)が、10日のスウェーデン戦から2大会連続のメダル獲得に挑む。そのLSと代表争いで激闘を繰り広げたのが、北海道銀行の主力4人だった。昨年12月から「フォルティウス」として再始動したサードの小野寺佳歩(30)とスキップの吉村紗也香(30)が本紙の取材に応じ、LSをメンタルと技術の両面から分析した。

 昨年9月の北京五輪代表決定戦は、まれに見る激戦となった。小野寺が「常に日本のトップを走っているような強いチーム」と表現するLS相手に、北海道銀行が2連勝で王手をかけた。しかし、ここからLSが勝負強さを発揮し始める。「2連勝をした段階で3試合目は、ロコも違うことをやってくると感じていた」(小野寺)。2連敗を喫したLSは、第3試合以降から感情を素直に出すようになった。

「ロコは自分たちの雰囲気をつくってきて、いい形でハマった。ちょっと反省というかロコが雰囲気を変えてきたので、私たちも何か違う形、違うことをやってもよかったかもしれない」(小野寺)。北海道銀行は第3試合を落とすと、第4、5試合も敗戦。勢いに乗ったLSを止めることはできなかった。

 では一体、LSの強さはどこにあるのか。吉村は「プレッシャーのかかる場面を多く踏んできていると思うので、そこがメンタルの安定につながっているのでは」と分析する。実際にLSは負けたら終わりの場面でも笑顔を貫き、勝負どころで確実にショットを決めてきた。

「やっぱりショットの精度ですかね。相手のほうが自分たちと比べるとミスが少なかった。気持ち的には負けていなかったと思っていて、本当にその差っていうのはショットがどれだけつなげられるかだったと思う」。大熱戦を演じた中で、改めてLSとの差を痛感したという。

 ライバルも力を認めるLSは、2大会連続のメダル獲得を目指し、北京の地で世界の猛者たちと対戦する。厳しい戦いが予想されるが、吉村は「プレッシャーもあると思いますけど、一試合一試合楽しんでやってほしい。頑張れっていうか、もう頑張っているじゃないですか。なので、本当にのびのび楽しくプレーしてほしいですね」とエールを送った。

 そのLSは女子1次リーグ初戦前日の9日、約1時間の公式練習を行った。試合会場の氷の上で、ストーンの滑り具合を確認。スキップの藤沢五月(30)ら選手たちは、時折笑顔を見せるなどリラックスした様子だった。ライバルたちの思いを背負いながら、いよいよ2個目のメダルをかけた挑戦が始まる。
     
【4年後へリスタート】今回はLSに代表の座を譲った小野寺は、4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けて「フォルティウス」を立ち上げてリスタート。「チームが一つになれるように、一から頑張っていきたい」と気持ちを新たにしている。吉村は「やっぱり五輪の舞台に立っていたい。個人としては、どんなときでも最後のショットを決め切ったり、自分の精神面にブレがなくていつでもドシッと構えていられるスキップになりたい」と話し、次の五輪を目指してさらなる成長を誓った。