やっぱり、安心・安全じゃない!? 東京五輪開幕まで40日を切る中、新型コロナウイルスのワクチン接種が国内外の大会関係者の間で急速に進んでいる。

 国際オリンピック委員会(IOC)によると、五輪全体で参加選手らの約80%とメディア関係者の約70~80%がワクチンを接種する見通し。日本選手団も約95%が接種を受ける方向だが、既報したように5%は辞退する意思を示している。こうした現状を専門家はどう見ているのか。

 ナビタスクリニックの理事長で感染症に詳しい久住英二医師は「集団免疫としては、コロナは約7割ぐらいの人がワクチンを打ったら流行しないと言われているが、本当にそうなるのかが分からない」と警鐘を鳴らす。

 その上で「1人の感染者から何人に感染させるのかという基本再生産数は、シチュエーションによって大きく変わる。(昨年2月には)ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染があったが、多いときは1人あたり5人に感染したと言われている。免疫のない人たちが密集した生活を続ければ、この数値はいくらでも上がる」と指摘した。

 全員がワクチンを接種していない以上、大会期間中に最悪の事態が起こる可能性も否定できないということだ。久住医師は「例えば、関係者の約80%がワクチンを打ったとしても、たまたま打っていない方々が集まるところにウイルスがまかれたら、集団感染になり得る。約80%の人が打ったからといって大丈夫ということではない。当然100%を目指すべきだが、現実的じゃないとするならば、なるべくパーセンテージは高ければ高い方がいい」と訴えた。

 大会組織委員会の橋本聖子会長(56)ら主催者サイドが強調する「安心・安全」の五輪実現に向けたハードルは、まだまだ高そうだ。