東京五輪・パラリンピック組織委員会は23日、来年7月に延期された東京五輪の開会式と閉会式の演出について、狂言師の野村萬斎氏(54)が中心となっていた7人のチームを解散し、パラリンピックの演出統括を務めていたクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)を新たな総合統括とする新チームを発足させて演出を検討していくことを発表した。

 新型コロナウイルスの影響で式典の簡素化が求められる中で、野村氏のチームが新たな案を練り直すことが困難ということが今回の決定につながった。

 都内で行われた会見に出席した野村氏は「こういう状況になり、断腸の思いではありますが、スタッフに対して感謝を申し上げたい。効率を上げることが最優先であることは私も同意している。佐々木さんが、我々クリエーティブチームが積み上げてきた日本から世界への発信を受け取って、十分に発揮してくださると思う。日本からのメッセージを佐々木さんに託していくことがこの局面を乗り越えていくやり方なのかなと思う」と話した。

 これを受けて佐々木氏は「コロナ禍で私も家に閉じこもっている時期があったが、それもいけないなと。これは新しい挑戦として考えたい。五輪をやるべきではないという声があるのは存じている。だからやらなきゃいけない。ゼロからに直さなきゃならない部分がたくさんあるが、華美や驚かすという今までのものをガラッと変えるチャンスだと思っている。みんなが閉じこもってしまうような演出ではよくない。突破口になれるような演出をしていきたい」と意気込みを示した。

 佐々木氏は2016年リオデジャネイロ五輪の閉会式の中での引き継ぎ式で、安倍晋三前首相の「アベマリオ」を企画した一人。今年7月23日に国立競技場で行われた五輪1年前イベントで、白血病から復帰した競泳の池江璃花子を起用した演出も手掛けた。