スパイだったらどうするのか。内閣府の男性職員(30)が福岡県・北九州市で遺体で見つかった事件が、混沌としたままだ。永田町ではダブルスパイ説がささやかれるほど、ミステリアスな状況が次々と明らかになっている。当局が事件ではないという“作られたストーリー”を準備しているとのキナくさい情報もあり、真相解明はすんなりいきそうもない。そんななか、とうとう自民党関係者から「秘密保護法なんて成立させない方がよかったかもしれない」との仰天発言が飛び出した。
男性職員の遺体は1月20日に発見され、同31日に変死が明らかにされた。自民党関係者は「第一報を聞いたとき、職員が日本と韓国のダブルスパイかもしれないと思った。船で沖まで出て、そこからゴムボートに乗り換える。韓国の工作員を日本に上陸させる途中で、何かトラブルが起き、工作員は海に落ちて死に、職員も…。そんな想像をしたんですけどね」と明かす。同様のシナリオを描く人はほかにもいて、永田町ではダブルスパイ説が出始めていた。
この職員は米ミネソタ大学大学院に留学中で、1月上旬にソウルで開かれる国際会議に出席するため、韓国に入国していた。ソウルのホテルに宿泊しながらも、別のホテルに別人の名前で荷物を預けていたともいう。また、ソウルでゴムボートと船外機を購入し、その購入店や釜山のホテルでは偽名を使っていたという情報もある。
第7管区海上保安本部は死因を「低体温症か溺死」と発表。職員の細かい足取りは不明で「今のところ事件性に関わる情報には接していない」とした。先月22日に司法解剖されており、死後1~2週間と判断。約2万4000円分の韓国ウォンとクレジットカードが見つかっている。
「現時点ではまるで分からない。これから内閣府などに話を聞くことになる」と自民党国会議員は頭を悩ませている。
「ネットで男性職員の名前が出ていたが、別人らしいんだ。経歴や年齢が全く一緒というから不思議だよね。当局から話を聞いても、大したことは出てこないのだろうが、そこから始めないと」
また、霞が関関係者は「男性職員が所属していた内閣府傘下のシンクタンクである経済社会総合研究所は、全くもって機密情報を扱うところではない。彼の職務に謎はないはずだが、変死までの行動は謎だらけ。いったいどうなっているのか」と指摘する。
真相解明は徐々に進めるということだが、韓国外務省報道官は4日の定例記者会見で、男性職員が韓国入国後に行方不明になり、北九州市沖で遺体で発見されたことに絡み、日本政府から捜査などの協力要請は受けていないと述べた。
一方、この変死事件で改めて特定秘密保護法の問題点が浮かび上がってくるという。同法は昨年の国会で成立。まだ施行はされていない。
「職員の名前が明らかになっていないことは問題ではない。官僚組織のクリアランス(手続き)はどうなっているのかが気になる。職員が米国から韓国に行くときには(許可をする)ハンコを押した上司がいるわけでしょう」(前出議員)
仮に男性職員がスパイだったらどうなのか。さらにハンコを押した上司もまたグルだったらどうなのか。
「つまり、官僚がスパイだったら…秘密保護法なんて機能しないんじゃないか?ということです」(同)
同法では安全保障やテロ情報など外部に漏らしてはいけないものを秘密に指定し、破った場合の罰則を定めている。しかし、秘密を取り扱う官僚がスパイだったら、厄介だ。秘密指定の実務は官僚が行うだけに、そのサジ加減は法律の運用にも影響を及ぼす。
同法を施行する前に、そのあたりをすっきりさせなければならない。
内閣府職員「変死」の思わぬ波紋
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