夏は汗をたくさんかくが、冬でも同じように汗をかきやすいという人は多汗症かもしれない。原因は不明だが、糖尿病やがんといった病気が隠れている場合もあるという。主な症状や治療法を皮膚科医の中村淑子医師に教えてもらおう。

 ――汗かき体質との違い

 中村医師(以下中村)多汗症と汗っかきはとても似ていますが、多汗症は交感神経が過剰に働く状態になることで意図せずにたくさんの汗をかいてしまう病気です。多汗症を診断するための項目があるので内容を紹介しましょう。

 ――お願いします

 中村 まずは一番最初に症状が出たのが25歳以下であること。体の左右対称に症状が出ること。睡眠中は発汗が止まっている。週に1回以上の多汗で困るエピソードがある。親族に多汗症の人がいる。多汗によって日常生活で困っていることがある。これらの項目のうち2個以上当てはまっていて、症状が6か月以上継続している場合は多汗症です。ですが、汗をたくさんかく人でも本人がそれほど困っていなければ多汗症ではないという見方をしています。

 ――全身くまなく汗をかくのでしょうか

 中村 全身性の多汗症と局所の多汗症があります。全身性の場合は全身に汗をかきます。局所の場合はわきの下や手、足など感性が密集している場所に汗をかきます。患者さんの中でも多いのが紙を触っていると手の汗で濡れてしまうとか、手の汗が気になって1日に何枚もタオルを持ち歩いていないと生活できない、人と握手ができないといった症状が挙げられます。特に手のひらに水玉のような汗が出るのは多汗症の症状であり、原発性局所多汗症と言われています。

 ――多汗症には原発性と続発性があると聞きましたが

 中村 原発性は原因が不明で脳に何らかの異常があって交感神経が過剰に働いてしまっている状態の場合です。続発性は感染症や神経系の疾患、糖尿病、がんなど原因となる病気が隠れている場合です。続発性の割合は少なく、多汗症のほとんどが原発性です。

 ――症状の重さにも差がありますか

 中村 軽症の場合は手のひらが汗で湿る程度なのですが、重症になると汗がポタポタ垂れてきてハンカチをずっと握っていないと日常生活ができないような状態になるんです。1度、2度、3度でレベル分けできるのですが汗が湿る程度は1度、汗がポタポタ垂れてくる状態は3度、手のひらを開いてみたときに汗の水玉のようなものが目で見える状態を2度としています。多汗症は気温や湿度に関係なく冬でも汗をかくのが特徴です。

 ――治療法

 中村 最近は多汗症の治療が保険適用されたので良い薬がたくさん作られています。プロバンサインという内服薬は、全身と局所、両方の多汗症に効く薬で1日3回くらい内服すると改善されます。エクロックゲルとラピフォートワイプという外用薬もあり、わきなど気になる場所に塗る薬です。内服薬と違って副作用がないのが良いですね。ボトックス注射を細かく打つことで汗を抑える治療もありますよ。

 ☆なかむら・としこ 日本皮膚科学会専門医、日本美容皮膚科学会。大学病院の皮膚科へ入局。助教を務めたのち、「北朝霞メディカルクリニック」院長に就任、現在は同医院の理事長を兼任。