ウイルスや細菌の感染によって起こる扁桃炎。喉の痛みが激しくなったり熱が出るのが特徴だが、急性と慢性の2種類がある。症状や治療法について、内科医の佐藤留美先生に教えてもらおう。

――急性扁桃炎と慢性扁桃炎の2種類があるようですね

 佐藤医師(以下佐藤)急性扁桃炎は細菌やウイルスによる感染症で起こる病気です。症状は、38度から40度近い高熱、喉の痛み、それによって水を飲むことや食べ物を食べることが困難になる、ひどい人はつばを飲み込むだけでも激痛を感じたりします。また、首のリンパ節が腫れて痛みが出ることもあるんです。

 ――慢性の方は

 佐藤 慢性扁桃炎は、急性扁桃炎を繰り返すことを言います。慢性扁桃炎の症状は急性扁桃炎ほど喉の痛みはなく、そこまで高い熱も出ません。しかし、体がだるいとか飲み込むときに喉の違和感を感じるなどの症状があります。

 ――治療法

 佐藤 基本的に急性扁桃炎は細菌やウイルス感染によって起こる病気なので、原因が細菌感染によるものは抗生物質で治療していきます。ウイルス性扁桃炎に関しては、アデノウイルスという名前のウイルスが原因の場合が多いんです。しかし、このアデノウイルスを直接死滅させるような治療薬はありません。そのため対症療法と言って、熱さましの薬や喉の痛みを和らげる薬などを使って治療を行います。

 ――手術で扁桃をとる場合があると聞きましたが

 佐藤 手術で扁桃をとるのは1年間に何回も急性扁桃炎を繰り返す場合です。扁桃炎を起こしやすい人には手術が適用されます。手術をする人は子供から大人まで幅広い年代にいます。大人で手術を受ける人は、扁桃炎にかかることが体質的に癖のようになっている人が多いように感じています。

 ――扁桃炎はうつる病気なのでしょうか

 佐藤 細菌やウイルスが扁桃腺にすみついて炎症を起こす感染症なので人から人へうつる病気ですよ。そのため、人に会うときはマスクをする必要があります。扁桃炎にかかっている人がくしゃみなどをしたしぶきで他の人にうつす可能性もあります。ただ、扁桃炎にかかっている人からウイルスをうつされたとしても必ず扁桃炎になるというわけではありません。

 ――予防法

 佐藤 新型コロナウイルスと同じで、基本的には手洗いうがいをすることで喉の扁桃への病原菌の侵入を防ぐことが大切ですね。他の人から菌やウイルスをもらわないようにマスクを着用することも大事ですよ。

 ☆さとう・るみ 医学博士。日本内科学会認定・総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本感染症学会専門医・指導医等々。2007~11年、佐賀大学大学院で感染症の研究に携わる。20年、朝倉医師会病院呼吸器科部長に。