岸田文雄首相(自民党総裁)は10日、内閣改造と党役員人事を行い、第2次岸田改造内閣が発足。人事刷新したかに見えるが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係議員の完全排除とはならないのみならず、安倍派の分断・弱体化を図るともいわれていたが、配慮に配慮を重ねた岸田流の“事なかれ人事”となった。

 安倍晋三元首相の銃撃事件で一躍、政界と旧統一教会のズブズブ関係が白日の下にさらされ、岸田首相は改造着手前に「社会的に問題が指摘されている団体との関係は、十分に注意しなければならない。国民に疑念を持たれることのないよう、政治家としての責任において、当該団体との関係を点検し、適正に見直してもらいたい」と指示した。

 旧統一教会への関与が指摘された岸信夫防衛相、二之湯智国家公安委員長、小林鷹之経済安保相、末松信介文科相、野田聖子地方創生相、山口壮環境相は外れ、関係を絶ったと思いきや、山際大志郎経済再生担当相は留任し、萩生田光一経産相は党政調会長、加藤勝信前官房長官が厚労相に復帰した。

「旧統一教会との関係の濃淡ということで、さすがに『マザームーン』(韓鶴子総裁)と発言していた議員やシンポジウムを主催していた密な関係がある議員は見送ったということ。旧統一教会は現在出ている関連団体のほかに、あの手この手で議員に接触していて、関係性を挙げたらキリがない。それに入閣切望組が自ら関与があると名乗り出るはずもありません」(永田町関係者)

 調査に乗り出している他党でも日がたつにつれ、後出しで関与が続々と判明している。「茂木敏充幹事長が『これからは関係を持たない』と話しているように、自民党としてはもはや過去は不問にして、今後に焦点を置かないと、この問題は収まらない。世論の沈静化を待つしかない」(同)

 また安倍氏の死去で、安倍派は当面、新会長を置かずに集団指導体制となったが、混乱が続く中での内閣改造は駆け引きがあった。

「安倍派内からは、安倍元首相の四十九日が過ぎるまでは人事に着手すべきでないのに岸田首相が内閣改造を1か月早めたことに不信感が募った。また、萩生田氏を重用する姿勢が伝わったことで、安倍派の後継争いにも介入するのかと警戒されたんです」(自民党関係者)

 しかし、それも杞憂に終わった。安倍派からは松野博一官房長官が留任、ポスト安倍の一角とされる西村康稔氏が経産相の重要閣僚に起用されたほか、岡田直樹氏が地方創生相で初入閣。萩生田氏は党4役の政調会長になったことで、バランスを取っての波風が立たない差配となった。

 また安倍派ではないものの安倍氏の“後継者”として保守層から絶大な支持がある高市早苗氏も政調会長から経済安保相で入閣し、余計な批判を避けた格好だ。

「岸田首相が大ナタを振るって安倍派の分断を図って、岸田カラーを全開にさせるともウワサされたが、そんな度胸はなかったということ。結局、サプライズなし。派閥均衡の挙党態勢で、安全運転に努める岸田首相らしい無難な内閣改造の印象です」(前出の党関係者)

 キングメーカーの安倍氏が突然消え、身軽になったともいわれた岸田首相だが、独自色を出せる日はいつになるのか――。