元外務省主任分析官で人気作家の佐藤優氏が25日、評論家の佐高信氏に対する損害賠償裁判が終了したことを明かした。

 この裁判は、佐藤氏が佐高氏の著書「佐藤優というタブー」(旬報社)に名誉毀損の表現があるとして訴訟を起こした。

 訴状によると、佐藤氏は佐高氏の同書9つの記述を問題視。佐高氏はその一つで「彼は2016年3月2日付け『東奥日報』の電気事業連合会の『全面広告』に出て、『エネルギー安全保証の観点から原子力発電の必要性を強調』している。おそらく最低でも1000万円はもらっているだろうが、その金額を明らかにしてから『内調から藤原に金銭の流れもあった』とか言え」などと記述している。

 第一口頭弁論は6月8日にスタート、7月15日に裁判が終了。その結果、両者の間で和解が成立したという。

 和解条項は①被告佐高信は、著書『佐藤優というタブー』(以下「本件著書」という。)の中で、原告が電気事業連合会の広告に出演したことの対価が1000万円を超える可能性があると理解される表現をした部分は、いささか書きすぎであったと認め、原告に対し遺憾の意を表する。

 ②被告佐高信は、本件著書のその余の表現についても原告が不快に感じたことを認識する。

 ③被告株式会社旬報社は、本件著書の出版により原告が本件訴訟を提起ぜざるを得なくなったことについて、原告に対し、遺憾の意を表する。

 ④原告は、その余の請求を放棄する。

 ⑤原告および被告らは、原告と被告らとの間には、本和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。

 ⑥訴訟費用は各自の負担とする――とした。

 佐藤氏は「佐高信氏との民事裁判が終了しました。被告佐高信と被告株式会社旬報社が原告(佐藤優)に対して遺憾の意を表するということ明確にし、守秘条項も付さないということなので、私の要求が基本的に受け入れられたと判断し、和解に応じました」とコメントした。