山本太郎代表(47)率いるれいわ新選組は15日、声明を発表し、参院選最中に銃撃事件で死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬が行われる方針に対し、反対の声明を発表した。

 れいわは「凶弾に倒れた安倍晋三元総理大臣に改めて哀悼の意を表します。言論に対する一切の暴力行為を許容しない」と前置きした上で、「元総理大臣の葬儀を国葬で行うという政府の決定について、私たちは強く反対する」として、2つの理由を挙げた。

 1つ目は国葬の法的根拠がないことだ。首相経験者の国葬は吉田茂元首相以来、2人目となる。

「仮に政府が『国民葬』のようなものを提案するのであれば、国民全体が納得いく根拠を示し、国会においても議論を行うことを大前提にすべきである。一方で、安倍元総理の政策について肯定的に評価する意見があることは理解する。安倍元総理の功績を評価する方々が、葬儀の場でその功績をたたえることは広く認められるべきであろう。しかし、それを国葬として行うことは筋違い。支持者や、特定の宗教団体や党の関係者主催の葬儀を行えばよく、国葬という形をとる必要は全くない」とした。

 そして2つ目の理由として、岸田文雄首相が「日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開、東日本大震災からの復興」の功績を理由に国葬とした点だ。

 れいわは「安倍元総理が日本経済の再生を実現したとは到底言えない」「日米同盟の強化が実現されたが、一方で、強硬な国会運営で、憲法上疑義のある集団的自衛権行使を可能にしたほか、日本の周辺諸国との距離も拡大した」「震災復興についても実際は未だ道半ば」と岸田首相のいう功績を安倍元首相はなしえていないとした。

「政治家の非業の死と、生前の政治的評価とは分けて論ずるべき。国葬という形でこれまでの政策的失敗を口に出すことも憚れる空気を作り出し、神格化されるような国葬を行うこと自体がおかしい」と国葬に反対を訴え、「今回の事件は霊感商法などで社会問題化した新興宗教と自民党政治との密接な関係から生み出された悲劇とも言える。政教分離の徹底が必要であることも申し添えておく」と結んだ。

 共産党と社民党も国葬には反対を表明している。