石川県に政界、プロレス界の大物が駆け付けるオールスター戦の様相を呈してきた。石川県知事選(3月13日投開票)が24日告示され、プロレスラーで元文科相の馳浩氏(60)が立候補した。プロレス、国会議員時代の人脈から大応援団が結成されており、大混戦の選挙戦で圧倒的な空中戦を展開しようとしている。

 馳氏は昨年の衆院選に出馬せず、地元の県知事選に照準を合わせていた。当初、大本命と目されていたが、前金沢市長の山野之義氏、元参院議員の山田修路氏が名乗りを上げ、保守分裂。自民党県連は馳氏と山田氏を支持するものの自主投票となり、共産党推薦の飯森博子氏、元会社員岡野晴夫氏も加わっての無所属新人5人による大混戦となった。

 馳氏陣営が「議員生活で培った多くの仲間との厚い信頼関係こそが大きな力となる」と胸を張るように集大成ともいえる知事選には、党派を超え、国会議員、首長が駆け付けている。日本維新の会から単独で推薦を得れば、告示前には菅義偉前首相や橋本聖子元五輪相が現地入りした。

 さらに馳氏の公式ユーチューブチャンネルでは安倍晋三元首相が「馳さんは文教行政に熱心に取り組み、現場を知っている元教師として、教育改革に取り組んでくれた。五輪招致でも世界中を回ってプロモーションしてくれた」とプッシュすれば、石破茂元幹事長、松野博一官房長官らが支持を表明し、選挙中は小泉進次郎前環境相や高市早苗政調会長、河野太郎広報本部長らが現地入りする予定だ。

 政界だけでない。馳氏は議員時代に格闘技振興議員連盟の会長を務めるなど、政界とプロレス・格闘技界との橋渡し役を長く務め、現在もリングに立ち続ける現役プロレスラーでもある。

 専修大レスリング部やジャパンプロレスで先輩に当たる長州力が応援動画に登場し、「馳は本当によく努力した。お前の失敗は、オレがお前の先輩になったということ(笑い)。でも今は頑張っている。ぶつかってもはね返され、立ち上がっていく。本当にお前の持っている目標に近づいて行ってくれよな」とエールを送り、馳氏が「学生時代に先輩に出会えたのは幸運でした。感謝しかありません」と返すやりとりもあった。

 最初の選挙サンデーとなる27日には「2人のひろしが石川の中心で愛を叫ぶ!」と題し、新日本プロレスの棚橋弘至が県内に応援に駆け付け、街頭演説会が行われる。プロレス・格闘技界からも続々と応援入りすることは必至で、ファンのみならず、どんな“マッチメーク”が実現するかも注目される。

 24日の出陣式は金沢市内の前田利家とおまつの方をまつる尾山神社で行われ、1600人もの支援者、聴衆が雪の降りしきる中、集まった。

 あまりの熱気に馳氏は「最初に一句申し上げます。『この雪を とかす石川 新時代』」とよみあげ、感極まる場面も。傍らには一人娘の鈴音(りおん)氏が「娘です」のタスキをかけ、「世界で一番愛している父親です。一生懸命頑張りますので、なにとぞよろしくお願いします」と家族挙げての総力戦にもなっている。

 幅広いサポートを得た馳氏は「(コロナ禍で)厳しい状況を何としても前に動かしていきたい。そんな論点の知事選にしたい。誰が一番元気に前向きに石川県を前に進めていくか」と訴え、選挙戦に気合充実の表情だった。教師、レスリング五輪代表、プロレスラー、国会議員と歩んできた馳氏は首長として、新たなリングに立つことができるのか。17日間の熱戦の火ぶたが切られた。