PCR検査をすり抜けるステルスオミクロンすでに日本に潜伏か

2022年01月25日 11時30分

PCR検査のため列をつくる人たち(東スポWeb)
PCR検査のため列をつくる人たち(東スポWeb)

 PCR検査で検出しにくいとされる新型コロナウイルス・オミクロン株の亜系統「BA.2」の調査を英保健当局が21日に公式発表したことで注目が集まっている。一部の専門家が“ステルスオミクロン”と名づけたBA.2は、デンマークで感染者の約半数から検出されるなど拡大中。ただでさえ感染力の強いオミクロン株が、より厄介になる可能性が出てきた。

 現在、世界で主流となっているオミクロン株には3系統が存在する。そのうちの一つBA.2について、英保健当局が公式に調査に乗り出したと発表した。

 BA.2は遺伝子構造的にPCR検査での検出が難しく、初期データでは現在主流のオミクロン株BA.1より感染力が高い可能性があるというが、重症化リスクについては分かっていない。デンマークを中心に近隣国のドイツ、ノルウェー、スウェーデンのほか、インド、フィリピンなどでも徐々に感染例が増えているという。

 PCR検査をすり抜けることから“ステルスオミクロン”と呼ばれたことで、ツイッターのトレンド上位に入るなど日本でも注目を集めている。医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏はこう話す。

「PCR検査は想定したウイルスの固有遺伝子を検出するものだが、安価なPCRキットは検出できる固有遺伝子に制限があり、メーカーによってどの固有遺伝子を検出するか異なる。だから、検出する固有遺伝子がステルスオミクロンに対応していない場合、検出できない可能性は十分ある。すでに日本にステルスオミクロンが流入していてもおかしくない」

 実際、国立感染症研究所の報告書によれば、日本でもBA.2はインドやフィリピンに渡航歴のある人から検出されている。日本は水際対策として昨年11月下旬から外国人の新規入国を停止しているが、米軍施設にはPCR検査を受けずに入国した人も多数存在するだけに、もはや国内に流入していても何も不思議ではないだろう。

 そんな中、政府や自治体、専門家などはオミクロン株への対処で足並みを揃えられず、社会インフラに従事するエッセンシャルワーカーの不足が深刻化している。そのため濃厚接触者の隔離期間について、専門家らは14日間から7日間に短縮する案を提示したが、慎重姿勢を貫く岸田文雄首相の強い意向で10日間に落ち着いたとされる。

 岸田首相は24日の国会答弁で「現実的な期間を絶えず検討していく」としたが、古本氏は「隔離期間の基準はどこから来ているのか、さっぱり分からない。根拠を示さず、とにかく隔離という従来の概念は変えた方がいい」と疑問を呈す。

 頼みのWHO(世界保健機関)はといえば、「渡航制限による感染拡大防止は失敗だ」として、渡航制限の撤廃や緩和をするよう19日に大胆提言。その3日後の22日には「感染経路の追跡態勢縮小や隔離期間の短縮は感染拡大につながる」として慎重な判断を求めるなど、チグハグ感は否めない。

 そこへきてPCR検査では検出が難しいとされるステルスオミクロンの拡大傾向だ。パンデミックが始まってからやがて2年、いまだに人類は新型コロナの進化に翻弄されるばかりのようだ。

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