中高一貫の学校を目指す小学生が増加し、中学受験は大激戦となっているが、新型コロナウイルスの影響で来年の中学受験を断念する家庭が続出。中学受験市場に異変が起こっている。

 暗記型から思考型に変わるとされる大学入試改革への対策で、ここ数年は、独自のカリキュラムを持ち、有名大学への進学実績がある中高一貫校を目指す小学生が増加。首都圏の中学受験者数はこの6年間で右肩上がりで増え続けている。

 教育ジャーナリストは「この6年間で、進学実績がある名門中高一貫校が高校募集を停止している。他の名門も高校からでは入れなくなるかもしれないので、中学で入っておくしかないということで、中学受験が急増しているんです。中学受験を目指す家庭はかなりの経済的負担を強いられてますよ」と語る。

 中学受験のため進学塾に小学校3年生~6年生まで4年間通わせたとしたら、その総額は250万~300万円ほど。晴れて、希望の私立中高に進学が決まれば、月額平均8万~10万円ほどかかる。

 進学塾講師は「中学受験が初めてピークになったのは2008年ですが、その年後半にリーマンショックが起こって、日本でも景気が低迷。以降、中学受験の底冷え状態が続いた。15年から再び上昇し、20年度の中学受験は大激戦になったんです」と言う。

 ところが、新型コロナの感染拡大で、休業、解雇や雇い止めなどで、収入が激減。リーマンショックの時以上に経済的不安を抱える家庭が増えている。また、一貫校に合格すれば、大半は電車通学になることで、さらに不安を募らせている。

「経済事情だけでなく、通勤通学ラッシュを避けるために自宅から徒歩や自転車で通える学校に切り替えることを検討している家庭が増えてます。来年は中学受験が減るのは間違いありませんよ」(都内の小学校教師)

 コロナ禍は子供たちの一生を左右する中学受験をも直撃している。