新型コロナ騒動で習近平の政敵が暗躍?クーデター説が浮上

2020年02月22日 16時00分

 新型コロナウイルスは習近平体制の転覆を狙った「内部クーデター説」が取りざたされ始めた。これまでウイルスは武漢市近郊にある中国科学院武漢病毒(ウイルス)研究所から漏れたとの説が、まことしやかにささやかれていたが、中国当局は「でたらめ」と否定に追われている。それでも消えない流出説には、権謀術数が渦巻く中国共産党内の権力争いが背景にあった。

 中国外務省の耿爽副報道局長は20日の会見で、新型コロナウイルスが研究所から漏れた生物化学兵器ではないかというウワサに「世界中の多くの専門家が科学的根拠がないと認識している」と否定した。この研究所からの流出疑惑は、さまざまな話が飛び交っている。

 先月、中国ネット上や欧米メディアの指摘に始まり、今月には「研究所に勤務していた研究員が0号患者で死亡し、火葬した際に感染が始まった」とのウワサが広まり、研究所は「デマだ」と火消しに追われた。

 最近、新たに加わったストーリーはクーデター説だ。

 元韓国国防省北朝鮮分析官で拓殖大学主任研究員の高永チョル氏は「複数の米中情報筋から習近平の政敵である江沢民派閥の仕打ちの疑いの話が出ています」と指摘する。

 研究所は王延軼なる39歳の女性が所長を務め、夫の舒紅兵氏は武漢大学副校長の要職にある。

「舒氏は江沢民元国家主席の息子である江綿恒氏と盟友関係にある。王氏が2年前に37歳の若さで所長に抜てきされたのも夫のおかげといわれています。王氏がウイルスを何らかの形で外に持ち出し、広めたといわれ、江沢民の上海閥による政治報復ではないかというワケです」(高氏)

 習国家主席による独裁ともいわれる中国共産党体制だが、さまざまな派閥のにらみあいが続いている。ナンバー2である李克強首相は胡錦濤前国家主席の派閥。胡主席時代は江沢民元国家主席が率いる上海閥と激しい権力争いを繰り広げた。習主席の就任で上海閥は一時優遇されたが、手のひら返しに遭い、いまや弱体化したといわれ、“犯行動機”は十分にあるというのだ。

 実際、新型肺炎の発生で、中国は大打撃を被った。武漢を封鎖したものの死者は2236人、感染者は7万5465人(21日発表)で、いまだ終息宣言を出せる見通しはついていない。

 3月5日に開幕予定だった全国人民代表大会(全人代)も延期が決定的で、習主席は4月の訪日も厳しい情勢とみられている。経済こそ大規模な景気支援策で、巻き返しを狙うが、終身政権ともいわれた盤石な体制は今回のウイルス騒動で完全に消えてしまい、失脚も公然とささやかれるようになった。

 もしウイルスが研究所由来のもので、意図的な流出だとすれば、習主席はハメられたともいえるが、共産党内のゴタゴタを統率できなかっただけで、被害者ヅラできるワケもない。

 SNS上ではウイルス研究所の研究員が「王所長が実験用の動物を市場に持ち出している」と実名告白したものの、すぐさまアカウントは凍結され、研究所は事実無根と表明する騒動もあった。

 既に研究所には人民解放軍の陳薇少将が当局から送られ、事態の収拾に動いている。事情を知る関係者は既に軟禁され、口止めされているとも。

 冒頭の耿副報道局長は「国際社会がともにウイルスと闘い、陰謀論という『政治的ウイルス』にもともに反対することを望む」と訴えているが…。