【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ミャンマー最大都市ヤンゴンは、民主化の進展とともに目覚ましい発展を見せ、進出企業も増加。中心部では日本人とすれ違うことが日常的になってきた。隣国タイの首都バンコクを拠点に、出張ベースで行き来するビジネスマンもいる。そんな企業戦士たちの癒やしといえば地元風俗だが、ミャンマーには他のアジア諸国と違う、個性的な形態の店がある。

「いわゆるファッションショーをやるんだ。店内に張り出した大きなステージに、セクシーな格好の女の子たちが次々と登場してウオーキング。ステージ前まで来て客にアピールしたら、クルッと回って下がっていく。ステージ周りを陣取る客たちはクギ付けだよ」

 こう明かすヤンゴン駐在員は、日本からの客をアテンドし、このテの店をよく回るという。

「中でもカンドーヂー湖のすぐ南にある『225』というナイトクラブは、日本ではあり得ないようなローカル感がタップリ。おんぼろだが、ファッションショーを見ながらミャンマー料理を食べ、居酒屋のように使うこともできる」

 ステージに気に入った子がいたら、店員に頼んで花輪を買い、それをプレゼントすることで隣に座ってもらう権利をゲットできる。

「ただ、同じ子を狙ってる他の客からも、花輪が贈られるかもしれない。そうなったら花輪を追加し合って、より多くプレゼントしたほうが勝ち。女の子を花輪で競り合うんだ」(同駐在員)。花輪は1本1万チャット(約700円)が相場で、これが女の子の取り分になる。その後の交渉次第では、お持ち帰りも可能だという。

 勢いあるアジアの国々で今、幅を利かせているのは、言わずと知れた中国。ヤンゴン在住ライターが明かす。

「背景にあるのは米中貿易摩擦。両国は関税の引き上げをお互いエスカレートさせているが、その悪影響を避けるため、一部中国企業は投資先を米国からASEAN(東南アジア諸国連合)各国に切り替える動きが出ているという」

 中国では、急速な経済発展に伴い、国内での生産コストが上昇。そのため、少しでも安い人件費を求め、製造業のミャンマー進出が増えている。JETRO(日本貿易振興機構)によると、昨年の対ミャンマー投資額は、日本が3億7500万ドル(約405億円)に対し、中国は5億5800万ドル(約603億円)と大きく上回った。その余波は当然、ヤンゴンの歓楽街にも。前出駐在員はこうグチる。

「中国人ビジネスマンがとにかく多い。派手に女性をはべらせ、ファッションショーの花輪合戦でも日本人はかなわない。我々日本人にも店員は『ニーハオ』と話し掛けてくるくらい」

 アジアの夜の街では、長年の経験値で言ったら日本人が圧倒的に有利なのだが…。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。