マニラ、ジャカルタで進む首都移転計画 一極集中進む東京も見習っては?

2018年07月19日 17時00分

マニラの鉄道は日本の満員電車並み

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】フィリピンの首都マニラから北50キロのクラークでは今、史上空前規模の巨大タウン建設計画が進行中だ。

「街は『ニュー・クラーク・シティー』と名付けられ、3年前に開発が始まった。もともとアメリカ国外最大の米軍基地があったが、ピナツボ火山の噴火により壊滅的ダメージを受け、1992年までに撤退。跡地は経済特区として活用されてきたが、これを基に新しい街を造ろうとしている」(現地在住記者)

 約9450ヘクタール(東京ドーム2000個分以上)の敷地に120万人が暮らす予定。マニラと結ぶ高速鉄道や新空港も造り、世界中から企業誘致し、一つの新都市圏そのものを生み出そうとしている。将来的には「マニラから首都移転」という話も。

 全域の70%に緑地や公園などを整備する計画で、「クラーク・グリーン・シティー」とも呼ばれる。米軍基地の跡地管理を担うBCDA(基地転換開発公社)が指揮を執り、予算総額は約1兆5000億円。

「マニラはもはや飽和状態。無秩序に発展してきたため、交通渋滞はアジア最悪クラス。スラムが至るところにあり衛生状態も良くない。そんなマニラへの一極集中を避けるため、新しい街が必要というわけ」と前出記者。

 プロジェクトは一昨年ドゥテルテ大統領が就任し一気に加速した。マニフェストの一つに大規模なインフラ整備と国土開発を挙げていたからだ。「ビルド! ビルド! ビルド!」が合言葉で、全土でつち音が響く。高い経済成長率を誇り、フィリピンはアジアでも特に元気がいい国。人口は1億人を突破し、少子高齢化に悩む日本と違って国民の平均年齢は23歳だ。

 日本経済界の関心も高く、既に海外インフラ開発を支援する官民のファンド、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が200万米ドルを出資。参入企業はさらに増えそう。

 隣国インドネシアも同様に、首都機能をジャカルタから移そうとしている。有力候補地は、中部カリマンタン島にある人口25万人の小さな街パランカラヤ。

 ジャカルタも一極集中の弊害が大きく、渋滞がひどい。「約30キロ離れた郊外の工業団地へ行くのに、前日夜から出発しないと間に合わないことも」(地元会社員)なんて笑えない話もあるほど。

 日本も東京一極集中で、地方との格差や満員電車などの問題を抱え、災害リスクも高い。アジアを見習い、遷都の議論がもっとあってもよさそうなものだが。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、4年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)。