日本サッカー界の〝至宝〟がカタールW杯メンバーから落選する可能性が浮上した。11月開幕のW杯に臨む日本代表MF久保建英(20)は、所属するスペイン1部マジョルカでレギュラーから陥落。しかも今シーズンは日本代表でポジション争うライバルたちに大きな差を付けられており、大舞台に臨む森保ジャパン入りを懸念する声が高まっている。

 久保が窮地に立たされている。スペイン紙「アス」は「日本は久保に期待しているが、大きな希望は取るに足らないものになった。森保監督の計画において重要性を失い、期待は希薄になっている」と指摘し「これまで彼の立場はW杯に向けて危険にさらされていなかったが、もう明確ではない。このまま行けば久保は岐路に立つ」と伝えた。

 日本代表で久保の現状は、W杯アジア最終予選で歴代最多となる4試合連続ゴールをマークするなどMVP級の活躍を見せたMF伊東純也(29=ゲンク)が務める右サイドの控え。さらに4―2―3―1のシステムを採用した場合でも、久保が得意とするトップ下のポジションは10番を背負うMF南野拓実(27=リバプール)が一番手となる。

 J1クラブの強化担当者は「さすがにタケは選ばれるとは思うけど、今は伊東を外せないからあくまでサブ」としながらも「ただ攻撃陣は、どのポジションもサバイバルでしょ。そこで何をアピールできるか。スピードがあるとか、得点が取れるとか、守備がうまいとか…。何か特筆するものがなければ(W杯メンバーとして)生き残るのは厳しいのかもしれない」と語っていた。

 久保は攻撃面で非凡な才能を発揮しているものの、肝心のゴールに関しては明らかに物足りない。A代表では期待されながらもいまだにノーゴール。マジョルカでも今季公式戦2得点とまったく結果が出ていない。4月末の時点ながら同じ左利きで右サイドのメンバー入り争うライバルのMF堂安律(23=PSVアイントホーフェン)は今季公式戦9得点。トップ下を争うMF鎌田大地(25=Eフランクフルト)も同じく9得点をマークしている。

 また守備面では、森保監督が久保について「守備の強度はまだ足りない」と指摘していたように現在でも大きな課題。実際に、元日本代表の指揮官で、3月末からマジョルカを率いるハビエル・アギーレ監督も「足元の技術はうまいが、サッカーでは攻撃と守備が重要だ」と久保の守備力に注文を付けてレギュラーの座を剥奪をしたように、W杯では攻撃陣でもある程度の守備力がなければ、ポジションを確保できないのは間違いない。

 Jクラブ関係者は「じゃあ左サイドっていっても、南野と最終予選で活躍した三笘(薫=サンジロワーズ)もいるし、守備ができる原口(元気=ウニオン・ベルリン)もいるし…」と話しており、こちらも厳しい見通しといえる。W杯開幕まで約6か月。なかなか覚醒しない久保はW杯メンバーの座を勝ち取れるか。