J1福岡・長谷部監督の試合に臨む姿勢 選手時代の「遠征バッグ」は監督業にも通じる

2021年11月06日 07時00分

福岡・長谷部茂利監督
福岡・長谷部茂利監督

【取材の裏側 現場ノート】来季の契約延長が発表となったJ1福岡の長谷部茂利監督(50)は、選手時代、神奈川・桐蔭高から中央大を経て1994年にV川崎(現東京V)へ入団した。主に守備的MFとして元日本代表のラモス瑠偉とコンビ組み、Jリーグ記録となるチームの15連勝(95年当時)に貢献するなど、活躍した。

 高い技術力を武器に精度の高い長短のパスや適切なポジショニングで黄金期を迎えていたスター軍団に欠かせない人材だったが、なによりも〝プロフェッショナル〟な選手だった。そんな中、チーム担当だった記者がとても印象に残っているのは、試合前日の練習に必ず宿泊の準備を整えた「遠征バッグ」を持参していたことだ。

 当時のV川崎では試合に臨むメンバーは前日のトレーニング後に発表された。選手たちは試合メンバーの名前が書かれたホワイトボードで自身の名前があるかを確認した後、自宅へ戻るなど試合に向けた準備を整える。アウェーならば敵地に遠征し、ホームならばホテルに前泊するためだ。

 しかし長谷部監督は現役時代、試合メンバー入りがわからない状況でも事前に必要なものをすべて詰め込んだ「遠征バッグ」を抱えてクラブハウス入りし、前日練習に臨んでいた。当時のクラブ幹部は「彼はマジメな選手。プロとしての意識が高い。他の選手にも見習ってほしい」と、その姿勢を高く評価していた。

 当時はプロサッカーのJリーグが発足したばかり。もちろん、高いプロ意識を持っている選手も多くいる中で空前のブームに流され、甘い考えの選手もおり、準備が足りずに実力を発揮できないプレーヤーも大勢みられた。そんな中、まだ若手だった長谷部監督は「特別なこととは思っていない」などと語っていた。

 2003年シーズンで現役を引退後は指導者に転身。千葉や水戸などで監督を務め、昨季に福岡をJ1に昇格させただけではなく、残留に導くなど、その手腕は高く評価されている。選手時代に培った試合に臨む姿勢や準備が現在の監督業にも役立っているのは間違いないだろう。

(サッカー担当・三浦憲太郎)

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