サッカー界が危機的状況を迎えている。元日本代表の中村憲剛氏(41)が18日、日本サッカー協会による「JFA×中央大学『アスパス!協働プロジェクト』」に参加した。約50人の学生とディスカッションしたが、学生からはサッカーについて「あまり関心がなかった」「友達の間でスポーツの話題は出ない」などの声が上がり、厳しい実情が浮き彫りに。中村氏は「これがリアルな声だと思う。(サッカー界の)一歩外に出ると、関心のない人たちが多い」と危機感を募らせた。

 サッカー離れが加速する背景もある。これまで大きな注目を集めてきたW杯アジア最終予選だが、カタール大会では放映権料の高騰からアウェー戦は地上波放送が消滅してスポーツ動画配信「DAZN」が独占中継。有料配信でしか視聴できない状況に、協会ではライトなファン層が離れることを危惧している。

 さらにサッカー放映権の争奪戦の激化により、コア層の維持も難しくなっている。これまでDAZNが配信してきたドル箱のイングランド・プレミアリーグの日本での放映権を、来季から韓国の「ECLAT MEDIA GROUP」が取得。配信する「SPOTV NOW」で視聴するには有料となる。

 同リーグの配信は契約者数を大きく左右するだけに、DAZNは「協議を継続していく」としているが、韓国メディア「MKスポーツ」によると、ECLAT側はネット配信では独占とする方針。そうなるとサッカーファンは新たに契約する必要があり、懐事情は一層厳しくなる。サッカーの〝高額化〟に拍車がかかれば、視聴を諦めて他の娯楽へと流れるファンが続出する懸念もある。

 サッカー界は大きな岐路に立たされていると言えそうだ。