【前田日明(18)】 ユニバーサル(レスリング連盟=UWF)と新日本の業務提携時代の有名な話の一つに、1987年1月の「熊本・旅館破壊事件」がある。人によって証言が違ったりしてるから、あくまで俺の記憶の話として読んでほしい。でも俺はハッキリ覚えてるよ。酔っぱらってなかったからさ。
試合が終わったあと、熊本・水俣市の旅館で山本(小鉄)さんが音頭をとってUWFと親睦会をやったんだ。あまりにリング上がギクシャクしてるからさ。会が始まって(アントニオ)猪木さんを潰そうと若いのを集めて「お疲れさまのイッキしましょう」って焼酎ロックのジョッキで持って行ったんだ。そうしたら猪木さんが「誰が早く飲むか勝負だ。一番のヤツが一抜けな」と誰よりも早く飲んじゃった。
それで猪木さんが抜けでいなくなっちゃったから、今度は坂口(征二)さんの前に若いやつらを10人くらい並ばせ、ジョッキで連続イッキをやらせて。さすがの坂口さんも酔っぱらって「前田、蹴れるもんなら蹴ってみい」って言うから、俺も何発かストンピング入れてさ(笑い)。
で、パッと見たら武藤(敬司)がいたから「じゃんけんして勝った方がパンチな」って。俺と高田(延彦)がガンガン飲ませたから武藤もベロベロ。俺は全部後出しじゃんけんしたんだよ。高田が「前田さん、ズルいですよ」って俺をフルネルソン。武藤は出口の方に歩いていくから俺も「いいよ、一発くらい殴って」と言ったら、ピューッと助走つけて俺を殴ったんだよ。
「走って殴るのは反則だろ」と、またじゃんけんを続行して、武藤が倒れたから、俺は馬乗りになってパウンドしてたんだ。そうしたら「やりすぎだ」って怒った藤原(喜明)さんに殴られたんだよね。
お開きになったあとで「飲みに行こう」って俺と藤原さんと高田でスナックに行った。そこからはベロベロで「藤原さん、お願いです。頭突きしてください」とかワケ分からなくなっていたよ。「うるさい、向こう行け」とか言われたら「藤原さんの渋い頭突きを一発ごっちゃんです」とかってさ(笑い)。
後々山本さんに聞いたらみんな大暴れして、旅館のいろんなところを壊したみたいで弁償代として700万円かかったって。まあ、いろんな人がこの話を語ってるから異論もあるだろうけど、山本さんも俺と記憶全く一緒だったよ。翌日も大会があったんだけど武藤は顔が変形したから休み。俺も青タンだらけだったんだけど、坂口さんに休ませてもらえなかったね。いま思い出しても…まあ、みんな本当に元気だったね。
☆まえだ・あきら 1959年1月24日生まれ。大阪市出身。78年8月に新日本プロレスでデビュー。84年に第1次UWFに参加後、88年に第2次UWFを旗揚げ。91年にはリングスを立ち上げた。99年2月に「霊長類最強の男」と呼ばれたレスリング五輪3連覇のアレクサンダー・カレリン(ロシア)との一戦で現役を引退。その後も海外との人脈を生かして数々の強豪を招聘した。2008年3月からアマチュア格闘技「THE OUTSIDER」を主宰。192センチ、現役当時は115キロ。












