タレントのビートたけし(75)が、11日に急死した「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さん(61)を笑いで送った。弟子で政治評論家、タレントの東国原英夫(64)が12日放送のTBS系「ゴゴスマ―GOGO!Smile―」で明らかにした。上島さんには伝説的な〝白パンツ一丁事件〟がある。恥ずかし~い姿で、大物女優の吉永小百合(77)と鉢合わせしたという。上島さんは〝奇跡の男〟でもあった――。

 上島さんは肥後克広(59)、寺門ジモン(59)とともにギャグ「どうぞどうぞ」や熱湯風呂芸でお茶の間を笑わせてきた。数々の爆笑秘話も残したが、パンツ一丁事件は秀逸。故人と交流があった芸人によれば、ダチョウが都内のホテルでお笑いライブを開催した時にそれは起きた。

「あっ、やべ!」。上島さんはお笑いライブ開始直前に舞台袖で、小道具をホテルの居室に置き忘れたことに気づいた。その時の衣装は白パンツ1枚で、上半身は裸。時間はない。すぐに居室へ取りに戻るため、やむを得ずパンツ1枚のまま、きびすを返してホテル内を猛ダッシュ。エレベーターに滑り込んだ。

 タイミングが悪いことに、別の仕事でホテルを訪れていた吉永とその関係者もエレベーターに乗ってきて、鉢合わせした。狭いハコに、昭和を代表する名優とパンツ1枚のリアクション芸人。エレベーターには気まずい空気が流れた。

 しばしの沈黙後、空気を察したのか、ほほ笑んだ吉永から上島さんは声をかけられた。

「お仕事ですよね。大変ですよね」

 上島さんは直立不動で「は、はい…」とバツが悪そうにした。

「上島さんは折に触れてこの話をしました。吉永さんとはジャンルが違うので接点はほとんどない。吉永さんとナマで会えたこと、それもパンツ1枚だったのは、顔から火が出るほど恥ずかしかったそうですが、忘れられない思い出になったそうです」(前出芸人)

 吉永も「お仕事ですよね」と声をかけたことから、上島の芸風を理解。驚いたり、怪訝(けげん)な表情をしないよう努めて配慮したようだ。

「カメラが回っているところだけではなく、回っていないところでも何かを〝起こす〟人でした」と前出芸人は懐かしんだ。

 一方、上島さんが死去した11日、たけしは東国原とテレビ番組の収録で共演した。2人ともやはり、訃報に触れて絶句。特に、たけしは日本テレビ系「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」(1989~96年)で上島さんをブレークに導き、半世紀近く共演してきただけになおさらだった。

 たけしは、どうやって上島さんを天国へ送ったほうがいいか、東国原と話し合ったという。

 東国原は、その内容を12日放送の「ゴゴスマ」で告白。たけしには「芸人は楽しく送ってあげよう」との哲学があると言い、「しんみりせずに笑い話で送ってあげるのが、上島くんにとってもいいんじゃないかなっていう結論に達した。それが一番の弔いになるんじゃないかというのが師匠(たけし)の考え」とうなずいた。

 恩人の気遣いに天国の上島さんも喜んでいるはずだ。