歌手の松田聖子(60)が9、10日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪でディナーショーを開催した。長女で女優の神田沙也加さん(享年35)が昨年12月に急死したことを受けて一時的に活動休止して以降、初のディナーショーとなる。天性のセルフプロデュースで〝復活公演〟を完遂した、その舞台裏を追った――。


 天性のセルフプロデュースがちりばめられた。ショーは9、10日両日とも午後7時、ホテル内の宴会場「飛天」で開演。聖子は豪華なシャンデリアがきらめくステージ上で、1曲目にヒット曲「あなたに逢いたくて~Missing You~」、続けて「SWEET MEMORIES」を熱唱した。

 この後のMCトークだけ、昨年のディナーショーから演出をガラリと変えた。会場の約700人のファンに向けて、沙也加さんへの思いを涙ながらに吐露。3曲目に当初の予定曲から、歌手の坂本九さんの名曲「上を向いて歩こう」に変更した。これは、聖子が2011年の「第62回紅白歌合戦」で沙也加さんとデュエットした、思い入れの深い曲だった。

「当初は『時間旅行』という曲を予定していたそうです。これは聖子さんが作曲。他の作曲家の提供曲ではないため、セットリストから外しやすかったと思われます。聖子さんなりの気遣いでしょう」(関係者)

 活動再開の1発目の公演は、いやが応でも沙也加さんについて言及するかに注目が集まる。だからこそ、自ら切り出すと考えたようだ。

 ファンに直接語ることにもこだわった。

「聖子さんは年に3回ほどファンに会報誌を送付し、自身の思いや近況を伝える大切なツールとしています。ファンもそれが楽しみ。昨年は12月下旬の送付が年内最後の予定でしたが、沙也加さんの急死を受け、事前に用意した会報誌の内容がそぐわなくなり、送付を取りやめました」(同)

 今年3月に改めて会報誌をファンに送付。沙也加さんの急死で受けたショック、そして再起を図る思いをつづった。

「それだけでなくショーで自分の口で語ることを選んだわけです」(同)

 ショーでファンは写真、動画の撮影だけでなく双眼鏡の使用も禁止されるほど厳戒態勢だった。

「以前、一部ファンが聖子さんのコンサートで撮影機能を付けた双眼鏡を使ったのが問題視され、今回のショーでNGとされました。ショーはファンとだけ共有したいとの聖子さんの思いです」(同)

 ショーに先駆けて午後5時、ホテル内の「国際館パミール」でファンは豪華ディナーを堪能した。ディナーには聖子は登場していない。

「ディナーでは、ホテルの一流シェフが腕を振るった料理が提供されました。ポイントは、聖子さんプロデュースによりピーチリキュールで作られた、オリジナルカクテル『フェリシア』。事務所名にしてファンクラブ名でもある『フェリシアクラブ』から命名されました」(同)

 元トップアイドルは完全復活を印象づけた。