新天皇陛下の即位と改元でおめでたい令和元年早々、国難到来を示唆するかのような“予言”がクローズアップされている。英経済誌「エコノミスト」の表紙のデザインだ。2014年(平成26年)12月に発行された「ザ・ワールド・イン・2015」(2015年 世界はこうなる)の表紙に未来が暗示されているという説があるのだ。その秘密を専門家が解説すると――。

 表紙には、2015年(平成27年)時に世界のリーダーだったオバマ前米大統領、ロシアのプーチン大統領、習近平・中国国家主席、ドイツのメルケル首相らが描かれている。その右下に「不思議の国のアリス」のアリスとおぼしき少女が立っており、足元に「11・5」「11・3」という数字が書かれたダーツの矢が刺さっている。

 19世紀英国の児童小説で世界的に有名な「不思議の国のアリス」には、続編として「鏡の国のアリス」が刊行されている。エコノミスト誌表紙のアリスとおぼしき少女は鏡の国のアリスなのかもしれない。これを鏡の世界と考え、矢の数字を鏡に映ったものとして見ると左右が逆になり、「5・11」、「3・11」と読むことができる。

 矢は鏡のようにピカピカの地面に映り、鏡像ができている。3・11の矢はその鏡像がはっきりできているので、この予言は既に発生してしまった3・11の東日本大震災であるとされる。そして、予言解読者たちの間では「5・11は鏡像がほとんど出ていない、つまり、これから起こるのではないか」と言われているのだ。その気になる5月11日とは、いつの5月11日なのか? 

 オカルト研究家の山口敏太郎氏は「横に写っているお化けのようなものが『ホリデー』と書かれたプラカードを持っています。つまり休日の5月11日だとすれば、この19年こそ5月11日が土曜日で休みなのです」と解釈する。

 さらに左側に小さく写っている歪んだ地球儀には、東海地方から関西にかけてが欠落した日本列島が描かれている。

「これは東海地震から南海トラフ地震が発生することを意味しているのではないかといわれています。このような解釈によってこの雑誌が発売されてから3年間、『19年5月11日の日本列島に災難が起こる』と噂されてきたのです」と山口氏。

 エコノミスト誌は、経済を中心に記事を組んでいる専門誌。そのため、政治情勢や経済動向を分析して未来を予測するのは得意だろう。

「この表紙は予言ではなく“未来予想”だと思います。他にもマッチョなパンダ、うずたかく上がるキノコ雲などは、中国の勢力増大、北朝鮮の暴走などを意味しております。しかし、これは冷静に考えて、現場から想像し得る『経済動向、政治動向の予測』であります」(山口氏)

 また、同誌の表紙はいかようにも解釈できるよう、意図的に意味深なデザインにしたとも受け止めることができる。

「半分深読みしてくれることを想定しながら、意味深な表紙を作っている雑誌でもあります。なんとでも当てはまるあいまいな表現ですから、いろんな未来がこじつけられるノストラダムスのあいまいな未来予言詩と同じです。気にすることはありません。しかし近い将来、南海トラフ地震や東海地震、関東大震災は確実にきます。変な噂に惑わされず、現実的な思考で食料と水の備蓄、避難経路の確認、家族の待ち合わせ場所等を打ち合わせしておいてください」と山口氏は注意を促した。