「カープを優勝させてくれて本当にありがとうございます」。アイドルグループ「SKE48」の藤本冬香(23)がメジャー挑戦を目指す鈴木誠也外野手(27)に惜別と感謝のメッセージを送った。広島出身で大のカープファンである藤本は鈴木誠が頑張る姿にこれまで何度も支えられてきた。鈴木誠との〝奇跡の遭遇〟で元気をもらったこともあったという。

 小学生のころからマツダスタジアムに通い、スタンドから広島ナインに声援を送ってきた藤本の〝カープ愛〟は本物だ。2018年リーグVの瞬間はマツダスタジアムで生観戦。SKE48は中日ドラゴンズの応援大使を務めているが、20年と21年に行われたSKE48メンバーによるセ・リーグ順位予想で藤本は両年とも広島の1位予想だった。他のメンバーが注目選手に根尾、石川昂、大野雄ら中日ナインを挙げる中、1人だけ「鈴木誠也選手(広島)」とカープの選手の名前を書いた。当然、今年も「優勝するのはカープです」と断言している。

 藤本にとって鈴木誠はいつも元気と勇気を与えてくれる存在だ。「私が広島にいた頃、マツダスタジアムの試合では選手の自己紹介VTRが流れていたんですが鈴木誠也選手は変顔とかするのが定番だったんです。大画面でそれが映るからちっちゃい子もみんな喜ぶ。明るくてみんなを盛り上げてくれるところは本当にステキだと思います」。そんな〝神推し〟の鈴木誠に藤本はアイドルになってからも何度も救われたという。

 18年12月に行われたSKE48の9期生オーディションに合格した藤本は地元の大学を休学して単身名古屋へ。憧れだったアイドルとして歩み始めた。「ダンスも歌もできなくて不安で…。名古屋は人が多いし、帰り道もわからない。最初のころは毎日さみしくて泣いてました」。見知らぬ土地での新生活は大変なことばかり。だがSKE48の活動が藤本に〝奇跡の遭遇〟をプレゼントする。

 19年4月29日、首都圏で行われた48グループの握手会を終えて宿泊先のホテルに戻ってきた藤本は広島のマスコット・カープ坊やがラッピングされたトラックが停まっているのを見つけた。不思議に思いながら自分の部屋に戻ろうとした藤本だが、エレベーターの前で驚きのあまり声を失った。何と目の前に憧れの鈴木誠が立っているではないか。他にも菊池涼、九里らカープの主力選手がズラリ。実はこの日、偶然にも広島ナインとSKE48メンバーは同じホテルに泊まっていた。翌日の甲子園への移動に備えて選手たちは荷物出しを行っていたのだ。

「あ、あ、あの…。SKE48の藤本といいます。広島出身でずっと応援しています」。勇気を振り絞って鈴木誠に声を掛け、スマホにサインをしてもらった。「この日の試合でカープが負けていたのを知っていたのであまりウキウキしてたら失礼だなと思って抑えていましたが本当にうれしかったです。こんなことが現実にあるなんて…。すごく元気をもらえました」。ちなみにこのときのスマホは機種変更した後もジップロックに入れて大切に保管している。

 鈴木誠に勇気をもらったことは他にもある。藤本は昨年8月に新型コロナウイルス陽性となり、自宅で療養生活を送った。名古屋での1人暮らし。38度台の高熱で何日も寝込んでいるのは精神的につらいものがあった。それでも「鈴木誠也選手も昨年5月にコロナになったけど復活して東京五輪で日本の4番として活躍したじゃないですか。それがあったから私も(コロナに)負けないと強い気持ちでいられました」と頑張ることができた。

 それだけ大きな存在だっただけに鈴木誠が広島を離れてメジャー挑戦を決意したというニュースを知ったときには涙がこぼれた。だが同時に「これからは世界の鈴木誠也選手になってほしい」とも思ったという。

「私はダンスも歌も覚えるのが遅いし、本当にダメダメなアイドルです。でも鈴木誠也選手が努力を重ねて日本の4番になったのをずっと見てきました。だから自分も努力して頑張ろうと思うんです。きっと鈴木誠也選手なら努力を続けてメジャー1年目から30本ぐらいホームランを打つと信じています。鈴木誠也選手、カープを優勝させてくれて本当にありがとうございます。これからもずっとずっと応援しています」 

☆ふじもと・ふゆか 1998年4月3日生まれ。身長158センチ。広島県出身。2018年12月にSKE48の第9期生オーディションに合格。ニックネームは「ふゆっぴ」。夢はマツダスタジアムでの始球式登板と球場で流れる応援歌『それ行けカープ』の芸能人映像に参加すること。