今回紹介するのは未確認生物ではあるが、UMAかというと、少し言葉が違ってくる。UMP(Unidentified Mysterious Plants)とでも言おうか、未確認の植物のお話である。

 その昔、実在が信じられていた植物に「食人木」というものが存在している。巨大な食虫植物を想像していただければ、イメージとしては分かりやすいだろうか。人間のみならず大型の獣を栄養にする植物のことで、生態系ピラミッドの概念を脅かす恐怖の存在だ。

 有名なものが「マダガスカルの木」。ご存じ、アフリカ大陸の南東部に浮かぶ独自の生態系を持った固有種の宝庫である。マダガスカルの木は別名で「タコの木」「デビルツリー」などと紹介されることも多い巨大な樹木である。

 食虫植物は獲物となる虫を引き寄せるために、独特のにおいを発する分泌物を出すが、食人木の蜜は人間にとって非常に魅力的なにおいに感じるという。虫や獣のみならず人間すらもおびき寄せてしまう力のあるにおいなのだ。非常に興味深いものである。

 そして、においに引き寄せられてやってきた人間が木に近づいたところで、食人木は人間に向かって枝やツルを伸ばす。枝は非常に柔らかく、生き物のように動いて人間をからめ捕ると、絞め殺して食虫植物のように取り込んで消化してしまう、と伝わっているのだ。その姿がタコのようであり、その残酷性が悪魔(デビル)のようだというネーミングは理解に難くない。

 1881年にドイツの探検家であるカール・リッヒェが、このような残酷な現場を目撃し、その凶暴性について記述しているというのだ。それが1924年になると、ミシガン州の元知事であるチェイス・オズボーンがマダガスカルについて記した文章によって広まったのだ。

 この話は雑誌に載った創作だったのだが、当時はまだマダガスカルをはじめとする遠く離れた地における動植物の生態が知られていなかったことから「本当にあるかもしれない」と思われて、人々に信じられるようになったようだ。食人木だけでなく、リッヒェや現地の部族の話も創作だと指摘されて終息した。

 現在では創作であると判明しているが、ラフレシアなどの非常にグロテスクな花の存在や、食虫植物の中にはカエルすら捕食してしまうものの存在が、本当にいるかもしれないと当時の人に考えさせるに至ったのではないだろうか。