中日・荒木コーチ 引退時にも垣間見えた義理堅さ

2020年04月15日 16時30分

ノックをする荒木コーチ

【取材のウラ側・現場ノート】これほど義理堅い男を他に知らない。今季から一軍に配置された中日・荒木雅博内野守備走塁コーチ(42)のことだ。23年に及んだ現役時代は誰よりも練習する努力家。常に謙虚な性格でありながら頑固な面もあり、何事にも筋を通す。

 2017年6月にプロ野球48人目の通算2000安打を達成した際は、プライベートで親交のある俳優の柳葉敏郎(59)から本紙に祝福の独占手記が寄せられた。しかもゴーストライター頼みではない、直筆の書き下ろし。荒木は大感激し「兄貴! お待たせしました。2000安打やっと達成できました。渾身の手記、読ませていただきました。自分のために、忙しい時間を割いて執筆してもらったようで、感動、そして感謝という言葉しか見当たりません」などと本紙にお礼返しを寄せてくれた。

 そのオフに故郷熊本で内々の2000安打祝賀パーティーを開催するとの情報を本紙だけがキャッチ。「まだまだ若手には負けていないぞ。ベテランの意地ってやつを見せて調子に乗っている後輩たちをギャフンと言わせてやってほしい」などと祝電を送らせてもらった。これが会場で大爆笑を誘ったようで、荒木から「わざわざ祝電ありがとうございました。めっちゃ盛り上がりました」と礼を言われ、丁寧にも金色の箱に入った焼酎の記念ボトルまでいただいた。

 そんな義理堅さは引退時にも垣間見えた。18年限りで現役生活にピリオドを打つことが分かり、9月下旬に「中日“レジェンド”岩瀬・荒木・浅尾トリプル引退」のスクープが本紙を飾った時のことだ。記事に間違いはなかったが、荒木に悲しげな表情で言われたことは今でも忘れられない。「消化試合ではなく、シーズン最後の1試合までペナント、CSをかけて相手チームは真剣に戦っている。それをあらかじめ自分の引退試合とかで邪魔をしたくなかった。僕の男の美学を貫きたかった…」

 コーチとなった現在も人望は厚く、将来の監督候補であることは間違いない。男がほれる、男の中の男。指導者としての生きざまも見続けていきたいと思う。

(中日担当・霞上誠次)