東京都渋谷区で、区の保養所をめぐり前代未聞の騒動が起きている。同区が区民保養所に使うため購入した静岡県河津町の旅館が「アダルトビデオの撮影に使われた場所で保養所には不適切だ」として、堀切稔仁区議が購入および改修費用など計1億8000万円を区長らに請求するよう区側に求める訴訟を25日までに東京地裁に起こした。

 訴状によると、旅館は3月に休業し、渋谷区は4月に土地建物を買い取る契約を結んだ。だが、堀切区議の調査では、2006年から昨年まで、11作品以上のアダルトビデオの撮影に使われていたことが判明した。

 渋谷区によると保養所は10月のオープン予定。潔癖な区民はAV撮影が行われた旅館を保養所として使用したいとは思わないかもしれない。

 だが、旅館やホテルなどでプライベート風に撮るAVは人気だ。AV関係者は「物件が売れるまで遊ばせておくのはもったいないので、廃業する旅館をスタジオ業者が借り上げて、撮影場所として貸し出すのはよくあることです。普通の作品よりも撮影本数が多いAVはスタジオにとって上客になります。また、AVの撮影を映画撮影やCM撮影と偽って、旅館などを使用するケース、さらに、少人数のロケならグループ旅行を装うケースもあります」と明かす。その場合、客室に監視カメラでもつけない限り、旅館は把握できない。

 本人訴訟研究家の野島茂朗氏は「契約する際に、旅館以外に撮影スタジオにしていた場合は契約は無効とするという特約でも渋谷区は締結していたのでしょうか。告知義務違反等を原告は主張するかもしれませんが、人が亡くなった事故物件というわけでもありませんから、義務はないでしょう。AVが公序良俗に反しているかどうかが争点ですが、裏ビデオなど違法性がなければ、問題ありません。大学でAVメーカーやプロダクションが会社説明会を行い、一流女子大生にAVのサンプルを渡す時代に、時代錯誤な偏見のようにも思える」と話している。