ボートレース桐生のSG「第72ボートレースメモリアル」は峰竜太(41=佐賀)が逃げ切り、8度目のSG制覇を達成した。さらに初のGRANDE5(クラシック、オールスター、メモリアル、ダービー、グランプリ)完全制覇となり、3億円相当のインゴット(金塊)を手にする大偉業を成し遂げた。この快挙にボートレースファン歴48年の元天才ジョッキー田原成貴(67)は「さすがスーパースター」と大絶賛し、歴史的Vを振り返った。

【水面の残像】勝つと思っていたけど、やっぱり勝ったね。スーパースターは期待を裏切らない。本当にパーフェクトな優勝だったと思う。

 GRANDE5完全制覇に王手をかけていた峰さんは大会前から大きな注目を集めていた。そんな状況でエンジン抽選の1番目にエース機を引いてしまうから驚いた。持っているね。この時点でファンも予感したはずだ。今大会は峰さん一色になるだろう、と。

 レースで最も衝撃的だったのが予選最終日(4日目)5Rだ。毒島選手と壮絶な得点率争いを繰り広げていた峰さんは、5コースからまくり差しで突き抜けた。4カドの磯部誠選手がまくりにいって展開が向いたとはいえ、きっちり結果を出すところがさすがだ。エンジン抽選もそうだが、巡ってきた運を自分のものにする力があるのだ。最終的に毒島選手と得点率で並んだが、着順差(1着の本数)で峰さんが上回り、ポールポジションを獲得したことを思うと、あの1勝は大きかった。

 私は、あの勝利の後に峰さんの顔つきが変わったように思えた。準優戦、優勝戦でのプレッシャーは我々が想像できないほど大きなものだったに違いない。あのレース後のインタビューでは完全に「戦う男」の顔つきだった。いつもニコニコ、優しい表情の峰さんはいなかった。恐らく、あそこで腹をくくったのだろう。今回のSG優勝だけではない。GRANDE5完全制覇を最初に達成するのは自分だという重圧を自らに課したのだ。

 そして、もう一つ忘れられないシーンがある。優勝後のインタビューだ。涙を見せた峰さんは「まだ力不足」「自分は甘い」「こんなに弱い」といった言葉を並べた。一番強い男が、今なお己の弱さと向き合い、克服しようとしている。これまで成功と失敗を何度も重ねてきたスーパースターがこの夜、さらなるアップデートを施したのだ。

 人懐っこく「アロハー」と言って満面の笑みを浮かべる峰さん。勝負どころでスイッチを入れ「戦う男」になる峰さん。そして、感激して人目をはばからず号泣する峰さん。どれも「峰竜太」という人間そのものだ。その中でも私は「戦う峰」が好きだ。彼は背負うものが重ければ重いほど輝きを増す。今回、それを確信した。

 最後に峰さんは「ボートレース界の期待を背負って先頭を走って盛り上げていく」と宣言した。私は今後も「最強」の称号を背負って戦い続けるスーパースター峰竜太のファンでいたい。