真夏の女王決定戦・ボートレース徳山のプレミアムGⅠ「レディースチャンピオン」は川野芽唯(40=福岡)の圧勝Vで幕を閉じた。優勝戦は危なげない逃げ切りだったが、ボートレースファン歴48年の元天才ジョッキー田原成貴(67)は予選道中での粘りの走り、激戦の得点率争いに着目。新女王誕生を祝福しつつ、鋭い観察力で優勝劇を回顧した。

【水面の残像】11年前とは別人だった。2015年のクイーンズクライマックス。あの時は1号艇・三浦永理選手がFに散り、川野選手は恵まれV。決して後味がいいとは言えなかった。しかし、今回は堂々たる優勝。文句のつけようがなかった。

 優勝戦はスタートもターンも完璧。危なげない逃げ切りだった。以前はスタートにムラがあったが、ここ最近は川野選手自身も話しているようにスタートの「質」が非常に良くなった。タイミングはもちろん、全速でスリットを通過している点が見逃せない。優勝戦もコンマ05のトップスタートを決めた。この良質のスタートが栄冠をもたらしたといっていい。

 特筆すべきはもう一つ、予選道中だ。常に「一つでもいい着順を」という姿勢を見せる川野選手だが、今大会はそれが明暗を分けた。2日目にカドまくり、逃げ切りの連勝で勢いをつけたが、私はその翌日の走りが最大のポイントだったと思う。3日目9Rは5号艇。準優好枠を目指す上で大きな着順は許されない。しかし1Mで後手に回った川野選手はバック5番手。絶体絶命となったが、ここからジリジリと追い上げる。1周2Mで4番手、2周1Mで3番手に浮上し、迎えた2周2Mで競り合いを制し、2着でフィニッシュした。この連対が後々になって効いたのだ。

 予選最終日12Rは得点率トップの千葉真弥選手と直接対決。ここで川野選手はきっちり2着をキープし、5着に沈んだ千葉選手を逆転してポールポジションの座をつかんだのだ。仮に千葉選手が3着以上だったら、川野選手は予選2位。そう考えると、やはり3日目9Rの驚異の追い上げは大きい。あれがなければ準優で逃げ切ったとしても、自力で優勝戦1号艇はつかめなかった。見た目は圧勝Vであったが、こういった予選の着順、一つひとつのターン、身上でもある〝一走入魂〟の姿勢が最高の結果を呼び込んだのだ。

 正真正銘のGⅠ制覇を成し遂げたことで、川野選手はまた一つステージを上げた。40歳のベテランは、これからボートレーサーとして本格的なピークを迎えることだろう。