ボートレース若松のプレミアムGⅠ「第13回ヤングダービー」は宮之原輝紀(28=東京)の優勝で幕を閉じた。栄冠を狙う若手同士が火花を散らす中、優勝戦は冷静な差しハンドル。今大会も予選からすべて見たボートレースファン歴48年の元天才ジョッキー田原成貴(67)は勝因を「格の違い」と表現し、宮之原の優勝を絶賛した。
【水面の残像】長くボートレースを観戦していると格上選手が展開に恵まれるシーンをよく見る。一流レーサーになると余裕が生まれ、その余裕がいい流れを呼び寄せるようだ。競馬でもそうだが、ガツガツと前のめりになって好結果が出たためしがない。逆に口笛でも吹きながら馬上でゆったり構えていると、なぜか絶好の展開が訪れるものだ。
今大会の宮之原選手がまさにそうだった。エンジンはそれほど出ていなかったが、なぜか彼にはいい結果がついてきた。初日5Rはジカ外の中村日向選手にまくられながらも最内をうまく差して2着。3号艇で出走した2走目はピット離れでインを取って逃走。その後も展開をよく読み、うまくさばくレースが続いた。
大会前の時点で通算優勝28回。このズバ抜けた実績ゆえの余裕か。血気盛んに目の前の勝利に飛びつく周囲を尻目に彼だけは泰然自若だった。いや、どこか冷めた雰囲気すら感じた。俺が目指している頂点はここじゃない。同世代の戦いで一喜一憂していたらダメだ。そんな心の声がレースぶりからうかがえた。
準優でも巧みな手腕が光った。2コースから差し切れずバック3番手と後退したが、竹下大樹選手と島川海輝選手が激しく競り合う展開をうまく突いて2周1Mで2着に浮上。冷静なレースぶりで優勝戦に進出するとラストも圧巻だった。
3カドに引いた竹下選手がスリットで伸びてまくりに出ると当然ながら負けられないインの西丸侑太朗選手は果敢に先マイ。そして2コースの大沢風葵選手まで激しく抵抗し、強引なハンドルを入れる。GⅠ優勝が欲しくてたまらない3艇によって1Mは大混戦。そんな中、宮之原選手は慌てず騒がず余裕を持って1Mの最内を差し、見事に優勝を手にした。これぞ究極の〝漁夫の利〟であった。
まるで大学生の中に幾度も修羅場をくぐり抜けてきた社会人が交じっていたようなレース。余裕があるから結果がついてくるのか、結果が出ているから余裕が生まれるのか。卵が先かニワトリが先か。いずれにせよ、今大会の宮之原選手は明らかに「格」が違っていた。













