5月31日に閉幕したボートレース浜名湖のSG「第53回ボートレースオールスター」は丸野一樹(34=滋賀)がインから逃げ切り、悲願のSG初制覇を飾った。ボートレースファン歴48年の元天才ジョッキー田原成貴(67)は歓喜のVを「運命的」と表現し、ヒーローを祝福した。

水神祭で笑顔をはじけさせた丸野一樹
水神祭で笑顔をはじけさせた丸野一樹

【水面の残像】丸野選手にとって「現在・過去・未来」が凝縮された大会だった。今回の優勝劇を目にし、そう強く感じた。

 私も経験あるが、ジョッキーと競馬場には不思議な「縁」がある。長く戦っていると理屈では説明できない相性のようなものが浮かび上がってくる。丸野選手にとって今回の開催地・ボートレース浜名湖がそうだ。

 これほど特別で運命的な場所はない。高校3年生の時に夜行バスに乗って浜名湖のペアボートイベントに参加。その水面から見た光景に心を奪われ、ボートレーサーを志したという。その原点の地でSG初制覇。なんとドラマチックなことか。

 私もジョッキーを志したあの日、広島から夜行列車に乗って馬事公苑へ向かった。もう半世紀以上前の昔話で恐縮だが、あの車窓から見た光景は今も忘れることはない。恐らく丸野選手も同じだろう。これは勝手な想像だが、優勝戦で勝利をほぼ手中に収めた2周目、3周目…。あのペアボートから見た景色が頭の中に去来したのではないか。

 準優から振り返っても圧巻だった。インが立て続けに飛んだ後の準優12R、きっちりコンマ05のSを決めて逃げ切り。優勝戦ではさらに踏み込み、コンマ04のトップSで他を圧倒した。SGで初めて使用された新燃料(E30ガソリン)への対応力もプラスに働いただろうが、やはり浜名湖水面との相性の良さが際立った。前述した「運命」だけでなく、実際に2024年10月に当地の周年記念を制している。今大会もスタート、ターンともに迷いなく自信満々。まるでホームプールのように躍動していた。

 自ら運命を切り開いた地でSG初制覇。きっと浜名湖の女神は今後も丸野選手に寄り添い、背中を押し続けることだろう。