熱戦を繰り広げたボートレースびわこのSG「第31回オーシャンカップ」は定松勇樹(25=佐賀)の優勝で幕を閉じた。優勝戦2号艇から逆転Vを狙った師匠・峰竜太(佐賀)をねじ伏せて、見事にSG2度目の優勝を挙げた若武者。ボートレースファン歴48年の元天才ジョッキー田原成貴(67)の目にはどう映っていたのか。
【水面の残像】圧勝。今大会の定松選手を表現する言葉だ。それほどレース内容、結果ともに文句のつけようがなかった。
師匠・峰竜太選手との直接対決。さらに地元・丸野一樹選手を含めた世代交代を感じさせるメンバーが集結するなど、テーマ性という意味でも非常に注目を集める一戦となった。そのド真ん中にいたのが定松選手だった。
特筆すべきはスタートだ。彼はF1本持ちの身でありながら、優勝戦でコンマ08のトップスタートを決めた。準優戦でもインからただ一人のゼロ台(コンマ07)を踏み込んでいた。なかなかできることではない。言わずもがな、フライングの罰則は重い。SGの舞台、特に優勝戦でFを切れば選手生活に大きな影響を及ぼす。究極の状況で踏み込むことがどれだけ難しいか。しかし定松選手はきっちりトップスタートを決めた。この精度、技術、何より精神面の強さがなければできない芸当だ。
さらに言えば、今回がSG「2勝目」であることに大きな意味がある。競馬でも同じことが言えるが、上のクラスでレースをしていれば運良く一度くらいはビッグタイトルに巡り合うことができる。悪い言い方をすればマグレでも勝てる。しかし、2度目となると話は別だ。そこには本当の実力が問われる。2年前のオールスターで初優勝を飾って以降、定松選手は着実に力を積み上げてきた。そして今回、改めてその力を証明した。この2度目の優勝は今後のキャリアを占う上でも非常に大きく、自信につながるだろう。
ちょっと話はそれるが、私はドリーム戦も非常に印象に残っている。インの池田浩二をまくりでネジ伏せたあのターン。単なる力負かせではなく、癖のある当地の水面をうまく乗りこなした技ありの旋回だった。あの時点で「これはあるぞ」と感じたファンも多かっただろう。優勝戦の内容も素晴らしかったが、すでに初日に〝伏線〟が張られていた気がしてならない。
レーサーには誰しも分岐点がある。今回の優勝は間違いなく定松選手の今後を語る上で大きな意味を持つだろう。師匠と同じ舞台で戦い、その上で結果を出した。この経験は、数字以上の価値がある。しかも、まだ25歳というから末恐ろしい。どこまで伸びていくのか。ボートレース界にとっても、大きな楽しみがまた一つ増えた。













