中国アニメ映画「牛来(ニウ・ライ)」は、母子2人が5年をかけて完成させ、「ひどさを極めた」と評されるクオリティーと内容が逆に話題を呼び、思いがけない大ヒットとなった。信雨萌監督は次回作となるアニメ映画「羊高(ヤン・ガオ)」の製作にすでに着手しているという。香港メディア「香港01」が18日、報じた。
「牛来」は8月5日、宣伝活動を一切行わないまま公開された。公開から最初の9日間の興行収入はわずか7169元(約17万円)、観客動員数は236人にとどまり、上映打ち切り寸前に追い込まれた。しかし、8月14日に〝奇跡〟が起きた。
キャラクターのモデリングの粗さや、崩壊したような映像がSNS上で話題となり、ネットユーザーから「ひどさを極めている」と酷評された。それが逆に「どれほどひどいのか見てみたい」という人々の好奇心を刺激。SNSでは、実際に映画館へ足を運んだ観客が、「こんな映画を見てきた」と写真や感想を投稿する〝鑑賞記念投稿〟も相次いだ。
観客が映画館に押し寄せ、1日の興行収入は1000倍以上に急増。上映回数も1日5回未満だったところから、数千回規模にまで跳ね上がった。
さらに、「牛来」というタイトルの中国語の発音が「牛市来了(強気相場がやって来た)」を連想させることから、多くの株式投資家が〝縁起担ぎ〟でチケットを購入した。
17日時点で、前売りを含む総合興行収入は1477万元(約3億5000万円)を突破。最終興行収入の予測値は一時、約8900万元(約21億円)にまで引き上げられた。
「牛来」を製作したのは、信雨萌監督と母親の孫麗芳(スン・リーファン)さんの2人だ。信氏はもともと内装工事を本業としており、2021年に映像業界へ転身。「牛来」では監督、プロデューサー、モデリング、アニメーション、編集など、製作工程の大部分を1人で担当した。一方、孫さんは脚本や声優を担当し、さらにエンディング曲まで歌った。母子は一般的なパソコンを使い、5年をかけて86分の長編アニメをほぼ独力で完成させた。
作品の人気が急上昇する一方、一部の映画館では、作品の粗雑なクオリティーが都市のイメージに悪影響を与えることを懸念し、上映を取りやめる動きも出た。ただし、多くの地域では引き続き上映されている。
こうした批判にも信氏は冷静で、「牛来」を劇場公開できたことで、当初抱いていた映画製作の夢はすでにかなったとの考えを示している。
さらに信氏は、自身の中国版TikTok「抖音(ドウイン)」のアカウントのプロフィル欄で、次回作について「次の長編映画『羊高』を現在製作中!」と記している。香港01によると、新作も「牛来」と同様、母子2人が中心となって製作する予定だという。













