8日のフジテレビ系ドラマ「銀河の一票」第8話で最後、主要人物たちの会話シーンが音声なしで演出され。視聴者の心を揺さぶった。

 与党幹事長の父親(坂東彌十郎)に政界と家庭から追放された娘で元秘書の茉莉(黒木華)が、偶然知り合ったスナックのママ・あかり(野呂佳代)を担いで東京都知事選に挑む物語。告示が迫る中、政策に共感する有名声優の白鳥(日髙のり子)がお忍びで事務所を訪れる。

 メンタルの問題から声の出が悪くなっていた白鳥は、依頼された〝ウグイス嬢〟は断念した。AIと自身の「声」に関する複雑な思いも打ち明けた。選挙陣営の蛍(シシド・カフカ)からは、息子の陽太が白鳥の作品シーンを真似た〝儀式〟を行っていることを知らされる。

 白鳥はある日、空手教室の前で足が止まってしまった陽太に遭遇。自分を奮い立たせるため「勇気」「元気」「花が咲く!」と声を出す姿に、自身も大声を重ねた。白鳥が声を取り戻した瞬間でもあった。再び茉莉らの事務所を訪れた白鳥は、口を押さえて微笑。その顔アップから引きの映像に切り替わり、あかりや蛍と話し、2人がはしゃぎ、茉莉らも加わる。このシーンに音声がなかった。

 X(旧ツイッター)では、「ラストの無音にグッときた」「無音なのが心憎い」「声出せるようになったところが無音になるのが最高すぎた」などと〝刺さった〟反応が相次いだ。「最後で爆泣き」「見る者の心を動かす演出と脚本」といった投稿もあった。

 声が戻り、選挙に全面協力へという佳境になる場面。しかも出演者は人気声優の日髙とあって、舞台はできていた。あえて音声オフにしたのは、この回についた「あなたの『声』を聴かせてください」のタイトルと関係がありそうだ。

 白鳥が告白した声にまつわる思いに、茉莉らは都条例を国に先行させて対応すると話す。「私ひとりのために…」と恐縮する白鳥に、「誰も取りこぼさず、個人と世界の幸福を追求する」と茉莉はポリシーを訴えた。

 一人ひとりの「声」には普遍性もあることが少なくない。ラストで会話を聞かせると、その内容に視聴者の関心が引っ張られてしまう。「1人も取りこぼさず」拾った声に普遍性を持たせる茉莉とその共感者にとって、この場面はもはや〝言葉のいらない世界〟だったとみられる。