【パティ・スミス/ホーセス(1975)】
ニューヨーク・パンクの先駆者的存在だったパティ・スミスのデビューアルバム。後続のNYのバンドや英国パンク勢にも多大な影響を与えた衝撃的な作品だった。
よく言われるようにジャケットから群を抜いていた。名カメラマンのロバート・メイプルソープが撮影したモノクロのジャケットでは、トレードマークだった白いシャツに細身の黒いネクタイ、ジャケットを羽織ったパティが正面を見据えている。ほぼ男装に近く当時の女性シンガーとは確実に一線を画すものであり、それだけでも気概が違った。
衝撃は1曲目から訪れる。自作の「エクセルシス・デオ」とのメドレー形式でゼムの名曲「グローリア」をカバーしているのだが、ほとんど原型をとどめておらず、ピアノのイントロから詩の朗読、あるいは祈りをささげるような静かなつぶやきから徐々に音はスピードを上げ、パティのボーカルも鬼気迫るものへ転じていく。オリジナルのヴァン・モリソンのバージョンとは全く異なる高揚感で、従来の女性ボーカリストの概念を覆す迫力に満ちていた。
さらに9分15秒にも及ぶ「バードランド」、メドレー形式で9分25秒の大作「ランド」などは息をつく間もないほど性急感に満ちている。バックの音もさることながら、印象に残るのはやはり詩人でもあったパティの声と言葉であり、前衛的な詩をロックンロールにのせるという手法は画期的であった。
B面2曲目の「ブレイク・イット・アップ」ではかつてのパートナーだったテレヴィジョンのトム・ヴァーレインが参加している。まさに「ニューヨーク・パンクの女王」の称号にふさわしい名盤である。












