【音楽タイムマシン】新年最初の「音楽タイムマシン」は、ロックが最も熱かった1970年代にリリースされ「名盤」と呼ばれるライブ盤を厳選してお送りします。とにかく70年代のライブ盤は名作揃い。熱いライブ盤の数々を聴けば、冬の寒さも吹き飛ぶ!
(*題名と曲順は当時の日本盤アナログに準じています)

【レッド・ツェッペリン「レッド・ツェッペリンライヴ!! 永遠の詩」(1976年)】

レッド・ツェッペリン「レッド・ツェッペリンライヴ!! 永遠の詩」
レッド・ツェッペリン「レッド・ツェッペリンライヴ!! 永遠の詩」

 

 ハードロックの頂点を極めたツェッペリンが全盛期だった73年の米MS・G公演を2枚組に収録した当時唯一のライブ盤で、映画サントラ盤として発表された。発表当時の評価はいまひとつだったが、ファンからは熱狂的な歓迎を持って受け入れられた。

 当時はジミー・ペイジが音のヘヴィネスを強化させ、ロバート・プラントの歌詞は哲学的なものへと深化していた。とにかく全盛期の演奏には圧倒される。A面は史上最強のドラマー、ジョン・ボーナムが叩くイントロのハイハットから強烈な「ロックン・ロール」「祭典の日」そして「永遠の詩」から静寂な「レイン・ソング」へと続く流れは感動的だ。

 B面は26分を超える「幻惑されて」、C面はジョン・ポール・ジョーンズが弾くキーボードが感動的な「ノー・クォーター」からハイライトの「天国への階段」へ続き、最後はアドリブを多用した「胸いっぱいの愛を」で幕を閉じる。とにかく耳を休める間もなく張り詰めた演奏が続く。バンドはこのライブ盤の前の同年3月に最高傑作「プレゼンス」を発表しており、ハードロックの金字塔を打ち立てている。全米2位、全英1位。

【ディープ・パープル「ライヴ・イン・ジャパン」(1972年)】

ディープ・パープル「ライヴ・イン・ジャパン」
ディープ・パープル「ライヴ・イン・ジャパン」

 当時日本でツェッペリンと人気を分け合ったディープ・パープルのライブ盤で、日本公演のライブでは先駆け的存在となり、当初は日本でのみ発売されたが、高評価を受けてその後に欧米でもリリースされた。

 ツェッペリンが音を哲学的に深化させる一方で、パープルはとにかくハードロック特有のカタルシスを追求した。1曲目から代表曲「ハイウェイ・スター」「チャイルド・イン・タイム」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」と続く部分は圧巻。日本の観客の妙にぎごちない手拍子には時代性を感じる。

 メンバーはイアン・ギランをボーカルに擁した第2期メンバーで最強の布陣だった。ラストは20分にも及ぶ圧巻の「スペース・トラッキン」で締めくくられ、当時の時代の雰囲気とバンドの最強布陣の力量がパッケージされたライブ史上屈指の名盤だ。全米6位、全英16位。


【オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライヴ」(1971年)】

オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライヴ」
オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライヴ」

 米国南部を代表するロックバンドの最高傑作とされる2枚組ライブ盤。天才ギタリストのデュアン・オールマンを擁し、ブルースを基本として南部音楽のルーツを独自の解釈で現代に新たなロックとしてよみがえらせた。

 A面はデュアンのスライドギターが爆発する「ステイツボロ・ブルース」で幕を開け「誰かが悪かったのさ」「ストーミー・マンデー」とブルースのカバーが超絶テクニックで演奏される。ギターのディッキー・ベッツ、ボーカル&オルガンでデュアンの弟グレッグ・オールマン、ドラムスのブッチ・トラックスなど最強の布陣が脇を固めた。

 C面ではディッキー作の代表曲であるインストの「エリザベス・リードの追憶」で素晴らしいギターの競演が堪能できる。D面のラスト「ウィッピング・ポスト」では22分40秒にも及ぶジャムが続く。ジャム特有の散漫さはなく、バトルのような名演奏でアルバムは幕を閉じる。

 しかしリリースからわずか3か月後の71年10月にデュアンがオートバイ事故により24歳の若さで死去。バンドは方向転換を強いられ、その後も名作を残すも76年に解散。再結成と解散を繰り返し、99年には現代の天才ギタリスト、デレク・トラックス(ブッチ・トラックスのおい)も参加したが、2014年にバンドは終結を発表した。全米13位。

【ザ・フー「熱狂のステージ」(1970年)】

ザ・フー「熱狂のステージ ライヴ・アット・リーズ」
ザ・フー「熱狂のステージ ライヴ・アット・リーズ」

 英国最強のハードロックバンド、ザ・フー初のライブアルバム。「史上最強のライブ盤」との評価も高い。バンドは前年にロックオペラ「トミー」をリリースして、単なるハードロックバンドから完全に脱却した。その勢いのまま出されたのが本作である。

 とにかく音がデカく加えて複雑なアンサンブルで曲が大幅に改良されている。オリジナル盤は収録曲がわずか6曲。それでも卓越した演奏力で聴いた者を押しつぶすような迫力に満ちている。特筆すべきは名ドラマー、キース・ムーンのオンビートの狂ったような演奏。ほとんどリード楽器のように自由奔放に叩き続ける。ロジャー・ダルトリーのボーカルも圧巻の迫力で、ピート・タウンゼントは自由にギターを弾きまくる。バンドが絶頂期にあったことを証明する熱狂と臨場感が伝わる。

 A面は1曲目の「ヤングマン・ブルース」から「サブスティチュート」「サマータイム・ブルース」「シェイキン・オール・オーバー」と疾走感と重量感に満ちた演奏が続き、B面冒頭の代表曲「マイ・ジェネレイション」は「トミー」のナンバーを交えたメドレーで、14分47秒にも及び、強烈な「マジック・バス」で幕を閉じる。2001年には全33曲のほぼ完全版のデラックス・エディションが発売されている。全米4位、全英3位。

【ウイングス「ウイングスU・S・Aライヴ!!」(1976年)】

ウイングス「ウイングスU・S・Aライヴ!!」
ウイングス「ウイングスU・S・Aライヴ!!」

 元ビートルズのポール・マッカートニー率いるウイングスの76年全米ツアーの模様を収録した3枚組全28曲の大作。当時のポールは絶頂期にあり、完璧なパフォーマンスが繰り広げられている。

 とにかくこれでもかというぐらいにヒット曲が続く。名曲「ヴィーナス・アンド・マース/ロック・ショー」と「ジェット」のメドレーで幕を開けるや、各面では「007死ぬのは奴らだ」「マイ・ラヴ」「あの娘におせっかい」「幸せのノック」「ワインカラーの少女」「心のラヴ・ソング」「バンド・オン・ザ・ラン」などの代表曲が最高の演奏力でパフォーマンスされる。

 ビートルズ時代の曲も「イエスタデイ」「ブラックバード」「レディ・マドンナ」など全5曲が披露され、ファンを狂喜させた。ポールの才能を証明し、パフォーマーとして全盛期を迎えていたことを証明する傑作である。全米1位、全英8位。

【1970年代 その他のライブ名盤10選(順不同)】

 ニール・ヤング「ライヴ・ラスト」(1979年)

 ローリング・ストーンズ「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」(1970年)

 シン・リジィ「ライヴ・アンド・デンジャラス」(1978年)

 ピーター・フランプトン「フランプトン・カムズ・アライヴ!」(1976年)

 レーナード・スキナード「レーナード・スキナード・ライブ」(1976年)

 キッス「地獄の狂獣/キッス・ライブ」(1975年)

 チープ・トリック「チープ・トリックat武道館」(1978年)

 イエス「イエスソングス」(1973年)

 キング・クリムゾン「U・S・A」(1975年)

 デヴィッド・ボウイ「デビッド・ボウイー・ライブ」(1974年)