高市早苗首相は11日、石油備蓄を16日にも放出すると発表した。米国とイスラエルから攻撃されたイランが、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を事実上封鎖したことから、石油の安定供給に懸念が生じていた。そんな中、トランプ米大統領の次の一手として、同海峡北西にあるハールク島の奪取が視野に入っているという。だが、そうなれば第三次オイルショックのリスクもある。

「国民の皆さまの生活と経済活動を守る。このままでは今月下旬以降、原油輸入が大幅に減少する」

 高市首相はそう危機感をあらわにした。

 日本の備蓄量は国内需要の250日超。戦争が長引けば、枯渇への不安は高まる。各国との協調放出する選択肢もあったが、日本は世界でも中東依存度が突出しており、単独放出に踏み切る構えだ。

 実際、複数の欧米メディアは10日、イランがホルムズ海峡に機雷を仕掛け始めたと報じた。同海峡はペルシャ湾とオマーン湾、アラビア海を結び、最狭部約33キロ、航路片側約3キロしかない。ところが、世界の原油の約20%が通過するため、世界最大のエネルギーの〝チョークポイント(要衝)〟と呼ばれている。米軍はイランの機雷敷設船を電撃攻撃している。

 イラン戦争で〝石油〟がキーポイントになる中、トランプ氏の次の一手として、同海峡の北西483キロに位置するハールク島の奪取が視野に入っているという。だが、同島を奪取すると、世界に第三次オイルショックが起きる可能性が極めて高いため、トランプ氏は悩んでいるようだ。

 米紙ニューヨーク・ポストは10日、「マンハッタンの3分の1ほどの大きさしかないハールク島が、イランの原油輸出のほぼすべてを左右している。専門家は、その運命がトランプ氏の対イラン戦略の最終局面を決定づける可能性があると指摘している」と報じた。

 ハールク島はサンゴ礁の島で、面積約20平方キロメートルながら、イランの原油輸出の約90%を扱っている。英国シンクタンク「チャタムハウス」は、この島を「イラン石油産業の王冠の宝石」と表現するほどだ。

 軍事事情通は「ハールク島には、巨大な石油貯蔵タンク、積出港、パイプラインが集中しています。ペルシャ湾は水深が浅いため、超大型タンカーは本土近くに接岸できないので、実質的に利用できるのはハールク島の港だけ。つまり、この島を機能停止させればイランのメイン収入を断つことができます。米イスラエル軍ならば、数秒の爆撃で壊滅させ、イラン経済を数十年間、どん底に陥らせることができる。イランと戦争になった際、敵国は必ずこの島を狙うことを一度は考えてきました。今回もイスラエル国防軍はまっさきに米国に進言したそうです」と語る。

 ハールク島を機能停止させるには、爆撃による破壊、海上封鎖、地上侵攻などのパターンが想定されるが…。

「ハールク島を取られたイランが原油を輸出できなくなったとしたら、完全にホルムズ海峡を封鎖するでしょう。ハールク島が機能停止した上にホルムズ海峡が封鎖されれば、第三次オイルショックも現実味を帯びます」(同)

 トランプ政権内では、現段階でハールク島の奪取は選択肢の一つであっても、世界を混乱に招くため可能性は低いという。ただ、「トランプ氏は予測不能」(同)と指摘する声もあり、中東情勢は依然として先行きが見通せない状況が続きそうだ。