【オーティス・レディング/ヨーロッパのオーティス・レディング(1967)】

「ソウルの巨人」にして不世出のシンガー、オーティスが生前に残した唯一のライブアルバム。所属していたSTAX/VOLTの欧州ツアーの中のパッケージライブだが、演奏の壮絶さは他の追従を許さなかった。

 最強のバンド、ブッカー・T&ザ・MG’sをバックにオーティスは冒頭から観客を圧倒するパフォーマンスを展開する。とにかくどの曲も異常な性急さで、かつホーンセクションの迫力とオーティスのズバぬけた声量と歌唱力はすさまじい熱気に満ちている。

 このライブが収録されたパリの観衆の熱狂と声援は、オーティスの声と一体となって鳴り響いている。1曲目の「リスペクト」からエネルギー全開で「お前をはなさない」「愛しすぎて」と冒頭から聴く者の心をわしづかみして、オーティスは自分の気持ちを抑えられないかのように、バラードですら全身全霊を込めた力量で歌う。

 ビートルズの「デイ・トリッパー」とローリング・ストーンズの「サティスファクション」といった名曲もカバーされているが、ギターでエッジの立ったサウンドはホーンセクションがより激しい曲調に仕上げている。

 ハイライトはラストの「トライ・ア・リトル・テンダネス」。ほとんどゴスペルのコール・アンド・レスポンスのような展開を見せ、後半にグイグイとテンポを上げていく。女性客の一人のつぶやきや声援は有名だが、ほとんど「救い」を受けた者のような神々しさに満ちており、嵐のような大歓声の中でアルバムは幕を閉じる。同年12月にオーティスは飛行機事故のため26歳で早世するが、まさに“神”が残した奇跡的なライブアルバムである。