【忌野清志郎/夢助(2006年)】
不世出の名ギタリスト、スティーブ・クロッパーが昨年12月に亡くなった。本欄用にアルバムを探しているうち、故人が全面プロデュースしたこの大傑作に偶然ぶつかり、久々に聴いて改めて衝撃を覚えた。
米南部のソウルに憧れ続けた清志郎にとっては1992年の「Memphis」に続くスティーブのプロデュース作。実質的なラストアルバムとなった。2006年10月のリリース前には喉頭がん発覚を明かし、清志郎は奇跡の「完全復活」を遂げるも09年5月に急逝した。
冒頭のミディアムテンポの名ナンバー「誇り高く生きよう」からRCのジャンプナンバーを想起させる「ダンスミュージック・あいつ」、そして前半の中軸となる「激しい雨」へと続く。まるで没後に起きた東日本大震災や現在の世界情勢を予見していたような歌詞が続き「何度でも夢を見せてやる/RCサクセションがきこえる」のフレーズは何度聞いても涙が出てくる。この曲だけでなく、清志郎は最後の魂の叫びのように声を振り絞り続ける。
続くバラード「花びら」「雨の降る日」「温故知新」も胸を打つ。そしてアルバムのハイライトとなる壮絶なスローナンバー「オーティスが教えてくれた」へ続く。清志郎は「勇気を出せよ/君の人生だろ」と歌う。RC末期の名曲「空がまた暗くなる」(90年)の「おとなだろ/勇気をだせよ」という名フレーズを深化させており、胸中を矢継ぎ早にさらけ出す歌詞は、ジョン・レノンの「ゴッド」と同様の気高くも神々しい迫力に満ちている。
RC全盛期のファンはもうシニア世代以上となり、誰もが厳しい状況で様々な問題を抱えている。もちろん若い世代も同じだ。でもうつむいてばかりもいられないさ。大丈夫。RCサクセションがきこえる――。(敬称略)












