ベネズエラの首都カラカスで3日未明、数分のうちに複数回の爆発が起きた。最初の爆発が報告された後、ベネズエラの首都南部の電力は遮断された。デルシー・ロドリゲス副大統領は国営テレビで「ニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人の所在は分からない。生存の証明を要求する」と述べた。

 その数時間後、トランプ大統領は自身のSNSトゥルース・ソーシャルに「アメリカ合衆国は、ベネズエラおよびその指導者であるニコラス・マドゥロ大統領に対し、大規模な攻撃を成功裏に実施した。マドゥロ大統領は妻とともに拘束され、国外へ移送された。この作戦は米国の法執行機関と連携して実施された」と投稿した。

 米メディア・CBSニュースによると、マドゥロ氏夫妻を拘束したのは米陸軍の特殊部隊デルタフォース。トランプ氏は数日前にベネズエラ攻撃を許可していた。

 そもそも米軍は昨年9月以降、ベネズエラ沖で麻薬を積載した疑いのあるベネズエラ船舶へのミサイル攻撃を繰り返してきた。

 そしてトランプ氏は昨年10月、ベネズエラ国内でのCIA(中央情報局)の秘密工作を承認したと明らかにした。その理由として「麻薬だ。ベネズエラから大量の麻薬が運ばれてくる」と説明した。

米側に拘束されたとされるニコラス・マドゥロ大統領(右)とシリア・フローレス夫人(ロイター)
米側に拘束されたとされるニコラス・マドゥロ大統領(右)とシリア・フローレス夫人(ロイター)

 昨年11月には、マドゥロ氏を「外国テロ組織」の指導者に指定。麻薬カルテルとの関連を理由に挙げたものの、マドゥロ氏はこれを否定している。この指定により、マドゥロ氏は、アルカイダやイエメンのフーシ派といったテロ組織と同じリストに掲載された。

 同11月下旬以来、米国は麻薬密売船に対する海上攻撃から方向転換し、トランプ氏は「間もなくベネズエラで陸上攻撃を実施するだろう」と述べていた。

 米国事情通は「トランプ氏は、ベネズエラを経由して、フェンタニルなどの麻薬が米国に密輸されていると主張しています。また、ベネズエラは、イランからの技術支援と部品供給を受けて、国内で無人航空機(ドローン)の製造を行っています。そのため、トランプ氏はベネズエラの独裁者マドゥロ政権への圧力を強め続け、政権転覆をもくろんできました。クーデターが起きるのを期待していたのです」と語る。

 それにしても、戦争していない二国間にもかかわらず、独立国の大統領を他国が拘束するのは異例の事態だ。それだけにコロンビアなどの近隣国や、親ベネズエラのロシアなどが米国を非難しているほか、人権団体からは「国際法違反」との指摘まで出ている。

「第一次トランプ政権時の2020年3月に司法省は、マドゥロ氏を麻薬犯罪の容疑で指名手配しました。今回、トランプ氏が軍を指揮してマドゥロ氏を拘束したのは、米国で刑事裁判を受けさせるためであり、米国憲法第2条に基づく大統領の権限の範囲内だというロジックを使うとみられます」(同)

 いったい、どうなってしまうのか。