男子マラソン界の救世主へ――。第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の往路が2日に行われ、青学大が5時間18分8秒の新記録で3年連続8度目の往路優勝。1区で16位と出遅れるも、初めて山上りの5区に起用された主将・黒田朝日(4年)が1時間7分16秒という驚愕の区間新記録をマークし、大逆転劇の主役となった。〝シン・山の神〟のとてつもない潜在能力を名将・原晋監督(58)が証言。マラソン日本記録も狙える超大器で、2028年ロサンゼルス五輪も射程に入りそうだ。

 4区終了時点で首位とは3分24秒差。往路優勝に暗雲が垂れ込めたが、チームの大黒柱は前を向いていた。「ちょっと厳しいと思ったけど、もう行くしかなかった」。5位でタスキを受け、前方のランナーを次々と抜き去る。最後には〝山の名探偵〟と称される早大の工藤慎作(3年)を19・2キロ付近で捕らえ、トップでゴールテープを切った。沿道の大歓声を一身に受けた黒田は「最後は無我夢中だった。ここまで来たら、最後は優勝して終わろうと思って最後絞り出した」と満面の笑みを浮かべた。

 2年時には花の2区で区間賞を獲得すると、3年時には同区間で区間3位の快走。平地、山上りともに異次元のパフォーマンスを披露した黒田は、マラソンのポテンシャルも高い。2025年2月の大阪マラソンでは、2時間6分5秒の日本学生記録を樹立。原監督は「やっぱり長い距離に対する走り、は非常に天性の能力を持っている」と太鼓判を押す。

弟の黒田然(左)から水を受け取る青学大・黒田朝日(代表撮影)
弟の黒田然(左)から水を受け取る青学大・黒田朝日(代表撮影)

 そんなエースは、将来的に男子マラソンで21年東京五輪6位入賞の大迫傑(リーニン)が持つ日本記録(2時間4分55秒)を上回る可能性を秘めているという。原監督は「マラソンで日本記録を狙っている。ベルリンマラソン(9月)で、28年ロサンゼルス五輪が近づく2時間3分台を目指したい。その能力は十分にあるので、ベルリンマラソンで狙わせていきたい計画ではある」と明かした。

 日本人初の2時間3分台を見据える上で、トラックでの強化も進めていく構え。「持久系の能力がついたぶん、1万メートルでも日本選手権の優勝を狙っていきたいし、日本記録にもチャレンジしていきたい。マラソンで2時間3分台を狙うには、1万メートルの余裕度も上げていかなきゃいけない。春はトラックでスピードを強化して、27分台、場合によっては26分台を目指していきたい」と展望を語った。

 箱根駅伝後の黒田は、2月の別府大分毎日マラソンで2時間5分30秒を目標に走る予定だ。「箱根駅伝史上、一番のランナー」と原監督が認める至宝は、果たしてどんなマラソンランナーに成長するのか。期待は膨らむばかりだ。