流通ウォッチャー・渡辺広明氏(58)が「ジャパンホームショー&ビルディングショー2025」で異ジャンル取材に挑戦。「現場の方と話してこそ業界のトレンドをキャッチできる!」と前のめりに現場を歩き回ると“縁の下の力持ち”を体現する企業に出会った。
ジャパンホームショー&ビルディングショー2025は一般社団法人日本能率協会が主催する日本最大級の建築・建設総合展示会。600社以上が出展し、昨年は建設会社、デベロッパー、リフォーム会社など建築にかかわる2万6000人以上が訪れた。コンビニや商品開発を得意とする流通ウォッチャーの渡辺氏にとってはなじみが薄い業界だが、だからこそ見えてくるものもあるはずだ。
まず訪れたのは“巨大な岩”を展示していたグローベン株式会社(名古屋市港区)のブースだ。本物の石のように見えるが、繊維強化プラスチック(FRP)製で、驚くほど簡単に持ち上げることができる。天然石から型を取り、職人がひとつずつ丁寧に着色することで、目を疑うほどリアルに仕上がっている。
「弊社では人工庭石をリフェイクストーン、人工植物をリフェイクグリーンと名付けて販売しています。屋外でも使用可能で来春には不燃仕様も発売されます。庭園やホテルやオフィスインテリアのみならず舞台や演劇関係など幅広いシーンでお使いいただいています」
笑顔で紹介してくれたのは服部吉剛社長。人工竹垣では国内トップクラスのシェアを誇るそうで、渡辺氏は「温泉やサウナで見かけるアレを作っていらっしゃるんですね。サウナ好きの私でも人工竹垣とは気づきませんでした」と舌を巻いた。そして、天然芝を育てるのに欠かせない自動散水システムも同社の主力事業だ。
「J1だと鹿島(メルカリスタジアム)、柏(三協フロンテア柏スタジアム)…他にもいっぱいありますね(笑い)。自然再現カンパニーとしてリアルもリフェイクも頑張っています」(服部社長)
続いて渡辺氏が目を奪われたのは総合戸車メーカーの「ヨコヅナ」(大阪府八尾市)だ。戸車といえば、引き戸や網戸などをスムーズに開閉させるための部品だろうが、なぜこんなにも巨大なものが存在するのか?
「それは大型格納庫の戸車ですね。初めは重く感じるかもしれませんが、回り始めると軽いでしょう? これなら1人で開閉できます」と声をかけてくれたのは酒井登社長だ。
日本の住宅では戸車を使う引き戸が多く見られるが、海外では極めてまれな存在なのだという。1947年創業の同社はちっちゃいものから大きなものまであらゆるニーズに応え続けた結果、アイテム数は1300を突破。さらに、廃盤商品や特殊形状でも戸車のプロフェッショナルとして別注品の製造を行うなど、まさに“横綱相撲”で存在感を放っている。
さて、会場を回っていると渡辺氏のふるさと静岡県浜松市の天竜材を紹介するブースを発見。2017年度からやらまいか大使に任命されている渡辺氏が冗舌に語り始めた。
「浜松市の北部には“天竜美林”と称される人工林が広がり、FSC材(=森林管理協議会が定めた森林管理規格を満たす認証林から生産された木材)は6~7万平米と全国トップクラス。温暖で雨が多いことで他の産地の木材と比べても硬く加工しやすいことで知られています!」
林業振興課の職員によると、浜松市内のカフェや金融機関の内装のほか、大阪・関西万博にも70本の天竜材が使用されたという。
生産人口が減少し続ける今、建設に携わる人々の労働環境の改善も急務とされる。そんな中、インプルーブエナジー株式会社(大阪市東成区)は特許技術によるにおわない次世代型仮設トイレ「ZoneZeroシリーズ」をお披露目した。
尾張伸行社長は「着脱式ステップにすることによって業界初の横幅90センチを実現、手洗いも標準装備としました。これ1基で国交省が推奨する快適トイレ推奨基準をクリアしています」と胸を張った。
これまでの仮設トイレでは床を清掃した際に流した水が室外に流れてしまったが、便槽タンクへ落ちるよう設計。タンク容量を従来品の1・5倍にしてくみ取りの手間も低減させた。実際に中に入ってみた渡辺氏は「自分の家のトイレよりも広いかも」と快適さに笑顔を隠せなかった。
取材を終えた渡辺氏は「建築を支える細かな技術や空間価値を高める演出にまつわる話、どちらも長年取り組んできた会社だからこそのサステナブルな視点を感じました。普段の暮らしの中では目立たない、だからこそ大切な価値を提供する日本企業が多いことも勉強になりました」と総括した。
☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「Live News α」コメンテーター。Tokyofm「ビジトピ」パーソナリティー。
















