元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は19日に国会内で開かれた自民党の鈴木宗男氏が主宰する「大地塾」で日中関係をテーマに講演を行った。

 高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言をきっかけに中国の薛剣・駐大阪総領事は「汚い首を切ってやる」とSNS投稿して緊張が高まりつつある日中関係。

 外務省の金井正彰アジア大洋州局長は18日、北京で中国の劉勁松アジア局長と局長級協議をし、「極めて不適切だ」として強く抗議し、適切な対応を求めた。また、中国政府が自国民に対して日本への渡航注意を呼びかけていることについては日本の治安が悪化していないことを説明した。

 これに対し、中国外務省は日本側に対して高市首相の台湾有事に関する発言の撤回を強く求めた。また局長協議終了後、劉勁松アジア局長がポケットに手を入れて金井氏と会話する様子も話題になっている。

 佐藤氏は「ポケットの話、それから、その前の(中国)大阪総領事の話が問題になっているでしょう。どうも外務省はきちんと読めていないな、これは…官邸でも読めていない人がいるのかもしれない」と対応のまずさを指摘した。

「今回、中国が高市さんの発言に対して反応が遅かった。遅いというのは1番目、中国がぼーっとしている。2番目、これは極めて深刻の問題だから習近平国家主席の前の御前会議を行って、そこで国家としての意思の方針を決めるか、のいずれかです。もし習近平さんのところで方針が決まったのならば、中国の中でどういう競争が起きるか。(中国の官僚は)日本なんか誰もみないの、習近平さんの方をみて『いかに私は習近平さんの方針に従って日本に対して厳しく出ています』という競争になる」

 その上で「大阪の総領事の発言をどうみるか。領事が何を発言しても、それは基本的に管轄外の話を勝手にしているわけです。そういう形で『われわれは非常に怒っているんだ』ということを極めてエキセントリックな言葉で伝える国家意思。(日中間で)外交チャンネルが詰まっているからこういうことになる。通常の外交ルートでも伝わらないから平場に出してきている」と高市首相と習氏の間で〝不通〟になっていることを示唆。

「それ以降、発信はピタッと発信を止めている。なんで私がそういうふうに推定するか。(大阪の総領事は)その後、発信をピタッと止まっているということは、国家意思としてやっているということなんです」

 今後、日中関係の改善に向けて打つ手はあるのか。

「高市総理が秘密信書を習近平さんに送る。公開はしない。(高市首相は)自分の国会の発言は撤回する必要はない。その代わり政府の従来見解から行くと日本は変わっていないと書く。それからプラスして習近平さんとの会談には非常に満足していると。戦略的互恵関係は『今後も進めていきたい』と書いて送るわけです。信書には日付が入っているから(側近は)めくることはできないわけす。ただちに習近平さんに伝わる。そうすれば『メッセージ了解』ということなる。(習氏からは)返書は来る。しばらくは手紙でのやり取りを通じる形で(日中)両首脳の間でのコミュニケーションができます」と佐藤氏は述べた。